仲が悪い兄弟との相続|どうすれば手続きができるの?トラブルを避ける方法はあるの?
不仲の兄弟において、相続手続きが進まない!なんてときの対処法は、別のテーマで書いています。ご参照ください。
ある統計では、相続トラブルの約7割が遺産総額5000万円以下の場合に起っています。特に相続問題によくあるケースは、兄弟から同意を得られない場合です。
なぜ兄弟で遺産トラブルが発生するのか
子どもの頃は仲良かったとしても、それぞれ結婚すると、それぞれに配偶者が存在することになります。親族とは言え配偶者は、いわば他人です。
遺産分割協議に配偶者が入ることはあり得ないのですが、相続人は当然ながら、配偶者の意見を無視できないでしょうから、間接的に影響を及ぼすことが必然となります。
首を突っ込む登場人物も増えてくるわけで、相続人の間で意見がピッタリ一致することは、指南の技となりがちです。
だって、仕方ないですよ、財産(お金)が絡んでますもん。
しかも、利害関係人同士での協議は利益が相反するわけで、どっちか得すれば、どっちかが我慢する、涙を呑むことになります。
その綱引きが始まることは、人間なのですからやむを得ない、当たり前と考える方が、自然のようにも思えます。
欲深いというよりも、生きていくための本能といいますか、性のようにも思います。
この争いを避けるには、財産を譲る側、つまり親の世代が積極的に準備するほかありません。
考えられる方法は、2つあります。
- 跡を継ぐ子に、財産を生前贈与する
- 遺言書を書く
”1”は、贈与税のことや、不動産の場合は固定資産税を誰が負担するかなどを考慮する必要があります。
生前に名義変更する必要がないのであれば、相続まで待つ方が、一般的に税制の面では有利になると考えられます(例外はありますが)。
ということは、”2”の遺言書を書いておくことが、やっぱり有効なのだと思います。
具体例で考えてみましょう
南丹市や亀岡市などの地方において、先祖代々の土地があって、そこに住んでいるとします。
例えば兄と妹の二人兄弟であったとして、男の子だったという理由だけで、その兄が今も両親と同居して地元の付き合いなども一手に行っていたとします。
一方、妹は自由奔放で都会で暮らしていたとして、たまに自宅を訪れては、親にお金を無心するような姿を見ていたとすれば、兄はどのように思いますか?
親には先祖代々の家と土地、田や畑、山などはあるが、現預金はわずかだったなら、息子(兄)からすれば将来に不安しかなくないですか?
地方の田や畑は、耕作しないのであれば、固定資産税などが負担となるだけのケースが多くあります。
ということは、資産価値がそこそこ付くのであれば、妹が法定相続分通り、兄と同じ権利を主張することで、兄は不動産を取得するには、その代償として、現金を妹に支払う必要があります。
これが法律的には兄妹が平等だということですが、兄は負担(重荷)しかなくないですか?
先祖代々の土地を守り、地元の付き合いなどをしていくのが、男の子として生まれた使命だとしても、自分の預貯金から妹にお金を払ってまで、先祖代々のため相続をすることは、本当に平等なんでしょうかね?
妹は、兄からの現金を貰えれば、さらに自由奔放な生活をエンジョイできるかもしれませんから。
生まれた順番や性別で運命が決まるという現実を、「仕方ない」という言葉で済まされるのは、酷ですよ。
これはもう、親が考えて避けてあげるべき問題だと思います。
息子には、家を継いでもらう、その代わりに財産を取得させる。
娘には、そのような負担を負わない代わりに、財産の分配には理解をしてもらう。
そのようなことができるとすれば、親が書く「遺言書」です。
遺言書って、子どもの立場から親に、「書いて」って、言いにくいものなんです。
年齢に関係なく、少なくとも50歳~60歳を迎えたなら、早い目に遺言書を書いておくことをお勧めします。
もちろん、公正証書遺言が、ベストですよ。
まとめ
お子さんのために、ぜひ親は遺言書を書きましょう!
備えあれば、憂いなし。
家族円満のためにも、遺言書!ですよ。