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法的に親子関係を断絶することはできるの?家族との縁を切る、戸籍からの離脱など法律上の可否について

2018年6月12日

戸籍から抹消すれば、法律上の他人となるが、それは可能なのか?

東海道新幹線車内殺傷事件の事例から考える

2018年6月に発生した、東海道新幹線車内で乗客3人が切りつけられ死傷された事件のことで、強い違和感を覚えました。

加害者の両親からの発言内容について、です。

加害者の父は取材に対し、「〇〇君(加害者の名前)とは今は家族ではない。中学生の頃からほとんど会話はなく、関係は断絶していた」とおっしゃっていますよね。実際に加害者は祖母と養子縁組をしたようです。

父親としては、「その子は祖母を親として養子縁組をしたのだから、もう家族ではない」、つまり今は無関係だと言いたいのでしょうが、あまりに無責任な発言です。

おそらくですが、父親を筆頭者とする現在の戸籍には、父、母、長男のみの記載になっていて、加害者の名前は記載されていない状態ではないでしょうか。

加害者は戸籍まで、祖母を筆頭者とするところに入籍した、もしくは、成人しているので、分籍して自分が筆頭者の戸籍に一人で入ってるかのどっちかだと思います。

確かにこの方法であれば、加害者の名前は、父親を筆頭者とする戸籍から消えます。でも、現在戸籍からは消えているだけです。

普通養子縁組では親子関係は維持される

しかし、祖母と養子縁組をしても、両親との親子関係が解消されるわけではありません。この場合は普通養子縁組に該当しますから、相続関係も維持されます。

参 考 記 事

あくまで、現在戸籍において表面上は、除籍された者の名前が記載されないだけの話です。

過去の戸籍の状態を記載した原戸籍には、親子関係の記載が残ります。これが消える(抹消)ことはありません。

特別養子縁組は親子関係が断絶される

今の法律で、親子関係が断絶される方法は、「特別養子縁組」しかありません。しかも、家庭裁判所の許可が必要です。自分の子どもが気に入らないとか、関わりたくないとか、事件を起こしたとかの自己都合で息子・娘と縁を切りたいなんて理由は、認められるはずもありません。よって実質は不可能です。

昔、よくドラマとかで、「お前なんか勘当だ。もう親でも子でもない。出てけ!」「ああ、出て行ってやるよ。もう二度と帰ってこないからな!」「もう、親でも子でもない!」とかありましたが、こんな問答は法的には何の効力もなく、当然に相続関係もあって、完全な親子関係のままです。

事件の背景を考えると見えてくるもの

この新幹線の車内で起きた殺傷事件を起こした加害者の両親が、戸籍の変更を行ってまでも、その子との関係を無いことにしようとしたのなら、理解に苦しむ話だと思います。

祖母との養子縁組を勧めた(進めた)のは、母という報道があります。

加害者は賢い子だったという話もありますよね。両親とのトラブルも、多々あったんですよね。

そうした状況で母から、養子縁組を勧められる子の気持ちって、どうですか?辛くないですか?

養子縁組を勧められる理由は、自分は親から捨てられると、思った可能性はないでしょうか。

しかも、名字(苗字)も変わるかもしれません。戸籍から名前を消したいという思いもあったかもしれません。

参 考 記 事

加害者の母親の、「愛情を持って育てた」という言葉が、まったく真実味を帯びては聞こえてきません。

もちろん、このような環境で育ったからといって、このような重大な事件を起こす理由にはなりません。人の命を奪う権利は、誰にもありませんから。

許されない行為です。罪は償わなければなりません。

一方、被害者の方の、勇敢で立派な行動には、本当に頭が下がります。

失われた命は、帰ってきません。

この方のご家族は、さぞ無念だろうと思います。

まったくもって加害者を擁護する気持ちは微塵もありません。

しかしながら、もし加害者の親が体裁を取り繕うためにわざわざ戸籍を変更したとすれば、その行為は理解しがたいものです。これがもし真実だとすれば、親としてあまりに無責任だと感じます。

この事件に関わらず、戸籍は親子関係がなくなったかのような見た目を作り、証明するために存在するのではありません。

まして、戸籍の見た目で変えただけで、「親子ではない」なんて、言わないでほしい。

家族は、そんな簡単なものではありません。

実態上も、法律上も、家族は家族。

お互いに支え合って生きていくものなんですから。

あらゆる意味で、とても残念な事件です。

まとめ

法律上では、自己都合で親子の縁を切るということは、できません。親子は相互に扶養義務もあって、生涯にわたり密接に関わるべき存在です。血の繋がる親子の縁は、戸籍の見た目を変えたぐらいで切れるものではないことは、あらためて認識しておきたいものです。

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