新型コロナウイルスで店内を消毒した場合、損害保険の適用は?消毒液で濡れた商品の補償はどうなるの?

2020年4月6日

小売店を経営されている方は、新型コロナウィルスによる営業への影響が心配だと思います。今回は、仮の事例を設定して、新型コロナウィルスが店舗に及ぼす影響について調べてみました。

想定したシチュエーションとしては「小売店の従業員に陽性反応が出たので店舗を休業するとともに、店内の消毒作業が行われた」と仮定します。消毒液で濡れてしまった商品は、もう販売できませんよね。これは店側として大きな損失が出る事態で、店舗の存続にも関わります。

前提としては、国や自治体による補償は除いて、今回は民間保険会社による補償(加入している保険の適用)が受けられるかどうかを検証してみました。

店舗の消毒により価値が毀損した商品の補償について

初めての事態なので、保険が対応できていない

国内の損害保険会社の大手3社に問い合わせを行いました。

結論から言うと、揃って「現状では補償できない」でした。

保険会社によって、「感染症は全て対象外だ」というところもあれば、「企業活動における損失の全般を補償する保険商品はあるが、新型ウィルスは対象外」とした会社もあります。回答は分かれたものの、 基本的には、”新型コロナウィルスでの損失・損害は補償”できないとするのは、どの会社も共通でした。

一部の保険会社では、ウィルス性などの感染症の場合であっても、約款に入ってれば保証できる保険はあるようですが、当然ながら未知の存在であった新型コロナウィルスは入っていない、だから補償の対象外というのは、未知の脅威に対する保険会社の自己防衛なのでしょう。約款って、うまく作られていますね。

これまでもSARSやMARS、新型インフルエンザなどのウィルス性の感染症が流行したことはありましたが、新型コロナウィルスのように国内において、これほど事態が切迫したことはありません。

保険商品というのは、これから起こり得る事態を想定して備えるものですから、当然に現時点では未知の脅威については保険商品、つまり補償できる事柄に含まれていない、だから補償できないというのが現実です。

よって、現在の損害保険会社が販売する保険商品において、自治体が行う消毒作業で自店の商品の価値が失われたとしても、それを保証してもらうことは難しいと考えられます。 

店舗の減少した売上は、保険で補償されるの?

感染症に起因する損害補償は、民間の保険で救済されるものではない!?

これ、そもそも論なんですが、 保険会社の担当者 から「感染症は国が対応するべきことです」 と言われました。なるほど確かに、国が何十兆円もかけて対策に乗り出そうとする未曽有の事態を、民間企業である保険会社が、国内に数多ある事業所の損失まで補償を担うとなると、保険会社自身の体力(資力)で賄いきれるものではないのでしょう。

それでも保険会社のなかには、ウィルスなどの感染症に起因して売り上げが下がった場合、その事実を証明することができれば、損失部分を補償してくれる保険はあります。ただし、上記でも述べたように、新たに発生したウィルスは保険会社の約款に入っていないため、補償の対象外です。

まとめ

今回は民間保険会社の損害保険について、新型コロナウィルスにより店舗を消毒した時に廃棄する商品の損害が補償されるかを調べました、しかし、消毒による販売商品の補償どころか、売り上げの減少による金銭補償についても、新型のウィルスは保障されないという結果になりました。でも、どこかの会社の保険商品には、損害(損失)をカバーしてくれる保険があるかもしれませんので、ご自身が加入されている保険会社にご確認ください。

新型コロナウィルスで損害が生じる場合は、まずは自治体に相談の上、自治体もしくは国からの補償を求めるほかないようです。

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