公租公課倍率法とは|土地の適正な賃料を調べるには?どうすればいいの?その方法は?
その土地の賃料、安すぎませんか?
土地の有効活用を考えた場合、誰かに貸して地代(賃料)を得る方法があります。
この場合の契約形態は「賃貸借」になります。
そのとき、月々の地代は、どのように決めるべきだと思いますか?
参考になるのが、固定資産評価額です。土地は「一物四価」といわれますが、その価格につき最も身近で簡単で調べられるのが、「固定資産評価額」です。これは市区町村が発行する固定資産評価証明書や固定資産課税明細書、名寄帳(固定資産課税台帳)等から調べることができます。
しかし、賃料相場を調べるには、「固定資産税相当額」を調べる必要があります。「公租公課倍率法」により、賃料相場を知るためです。
公租公課倍率法は、賃料設定の一つの基準
「公租公課倍率法」とは、この場合の公租公課である固定資産税相当額と都市計画税相当額の合計額から、賃料相場を算出する方法のことです。
固定資産税相当額と都市計画税相当額の合計が、土地の所有者に課される年間の納税額になります。その納税額の2倍~4倍程度を年間の賃料相場の基準とするのが、「公租公課倍率法」です。これはあくまで簡易な方法ですので、厳密には不動産鑑定士、もしくは不動産会社による近隣地域の賃料相場を参考にした評価額査定が理想ではあります。しかし、公租公課倍率法でも参考にはなります。
年間の賃料相場が分かれば、12カ月で割り戻せば1か月当たりの賃料が出てくるのです。
公租公課証明書や名寄せ帳で固定資産税相当額を調べる
公租公課証明書には、固定資産税相当額が記載されています。でも名寄帳に比べて、発行手数料がちょっと高いのです。だったら固定資産相当額を調べるのは、名寄帳ではダメなの?という疑問が生れますよね。
自治体が発行する公的書類の記載事項によりますが、名寄帳(固定資産課税台帳)には固定資産税相当額を記載をしない自治体があるのです。一方、一筆ごとに税額の記載がされる自治体もありますし、合計の金額で記載されているところもあります。
京都市・亀岡市・南丹市の名寄帳はどうなの?
京都市や南丹市が交付する名寄帳には個別(一筆ごと)の税相当額が表示されますが、亀岡市の名寄帳には税相当額は記載されません。
「公租公課証明書」であれば、固定資産税に関する証明書なので当然に納税相当額が記載されているのです。
いつの間にか固定資産税が高くなっている仕組みは?
固定資産を適正に算定するため、自治体は土地・建物を問わず職権で不動産(固定資産)の評価を見直します。
これは登記簿上の地目と関係なく、自治体による見直しのため課税地目が変更されます。
これが賃料問題を引き起こす元になることがあります。
例えば田や畑の状態で他人に土地を貸したところ、借主が資材置き場として青空のままで使用した場合、自治体による見直しにより、課税地目が「雑種地」に変更されることがあります。「田や畑」と「雑種地」では、固定資産の税額は、かなり違ってきます。また、1つ(1筆)の土地であっても、固定資産税の適正な課税のため、市区町村は課税地目を区分けすることがあります。これを分属評価といいます。
田や畑は低い評価額となっている問題
田や畑における納税額の考え方は、今後も農地として使用することを前提に、宅地と比較して低い価格の評価がされています。一方、資材置き場として使用する場合、当然ながら農地ではありませんので、自治体により課税地目が見直されたなら、課税標準の価格は跳ね上がります。
土地の賃料は利用目的と相場をもとに、定期的に見直しましょう
田や畑だった時代の固定資産税を参考に地代を決めていた場合、いつの間にか固定資産税の納税額が跳ね上がっていて、しかもその事実に気がつかないでいると、大損することになり兼ねません。最悪の場合、地代が納税額を下回れば、貸主(所有者)がお金を補填して借主に貸してあげているみたいな構図になっているかもしれません。
まとめ
土地の維持管理に必要な固定資産評価額は、その状態(現況)により見直されます。これによって所有者の税負担は大きく変わります。
貸主(土地の所有者)は数年に一度は、納税額と賃料相場を見直し、適正な賃料になっているかを確認するのが良いと思いますよ。