事業復活支援金|確定申告書の控えを紛失|その対処法は?
『事業復活支援金』について
『事業復活支援金』とは、新型コロナウィルス感染症拡大により大きな影響を受けた事業主(個人・法人)に対して、申請をして要件を満たす場合、支援金が給付される制度です。
事業復活支援金の申請期限は令和4年5月31日となっています。
詳しくは経済産業省の特設ホームページをご参照いただきたいのですが、中には要件は満たすけど、証拠書類が無いので申請できないという方もいらっしゃると思います。
ここでは、申請にあたり証拠書類として必須の「確定申告書の控え」を紛失してしまった人は、どうすればよいのかを考察します。
過去の確定申告書の控えが無い場合
確定申告書は、個人・法人に関わらず、申告書を税務署に提出したのと同じものを控えとして保存するものです。
法律でも事業における帳簿書類の保存期間は、下記の通りです。
〇個人事業主(青色申告) 7年間
〇個人事業主(白色申告) 5年間
〇法人 7年間
帳簿書類は主に税金の計算に使用するものですから、その基である確定申告書も一緒に保存すべきものです。
よって、今回の「事業復活支援金」においても、”事業をしている者として確定申告書(控え)は当然に手元に保存している”ことを前提として、制度設計されています。
だから、そもそも確定申告書の控えが無いという状態が、事業を行う上で不適切であるのです。
これを前提にして、でも”無いものは無い”、そしてコロナの影響で事業の売上が大幅に減少しているのは事実なので、どうすればいいのか、ということになります。
マイナンバーカードがあれば閲覧できる
今、とても便利ですよと一所懸命に国が進めるマイナンバーカードですから、いろいろなメリットを、国は用意してくれています。
そのひとつが、「過去の確定申告書の閲覧」です。
e-Taxを利用して所得税・法人税等の確定申告の手続きをされた方は、e-Taxにログインし、そのメッセージボックスから申告データ(確定申告書の第一表等)の閲覧ができます。
これを印刷(これをPDFなどの形式でデータ化)すればいいのです。
「電子証明書」を使用して確定申告をされた方も、同じくメッセージボックスが閲覧できれば、同じものを印刷できるはずです。
電子申告って、便利ですね。
関与している税理士に控えを保存していないか、聞く
一転、アナログなのですが、事業所の決算に関与されている税理士さんがいらっしゃれば、まずは税理士さんに確定申告書の控えがないか、聞きましょう。
事業復活支援金の証拠書類の提出は、コピー(これをPDFなどの形式にデータ化する)でも構いません。
「保有個人情報開示請求」をする
これが最終手段です。事業主が確定申告をした税務署には、当然ながらそのデータは保存されています。
でも、先にも申した通り、事業に係る書類(確定申告書の控えや帳簿等)は、事業主が保存・管理するのは当たり前であると税務署は考えているので、当然に税務署でデータを閲覧したり写しを交付してくれるものではありません。
でも、税務署にしかデータがないのであれば、しかも閲覧及び写しの交付に蓋然性があると、税務署が認めてくれれば、データを開示してくれます。
例えば、相続の場合で考えてみましょう。
亡くなられた方が確定申告をされていたら、相続人が亡くなられた人に代わり、準確定申告をしなければいけないケースがあります。
でも、過去の確定申告書がなければ、いくら敏腕の税理士であっても、誤りなく適切に申告をすることは難しいかもしれません。
その場合、税務署に対し、相続人の立場で過去の確定申告書の閲覧請求をするのです。
相続のため準確定申告を行う旨の理由を記して「保有個人情報開示請求書」を税務署に提出すれば、閲覧もしくは写しの交付に応じてくれるはずです。
しかし、通常の「保有個人情報開示請求」は、個人情報保護のため”氏名などは開示されない”のです。
ここで「事業復活支援金」に当てはめた場合、大きな問題が生じます。
「事業復活支援金」で提出する確定申告書は、氏名が記載されていないと確認ができませんから、提出書類としては不備となります。
では、どうすればいいでしょうか!?
「コロナによる影響」であれば、氏名等も記載される
事業復活支援金の申請のため、税務署に「保有個人情報開示請求」をされる場合は、請求書の欄外にでも、”コロナによる影響から事業復活支援金の申請をするため”などの理由を、必ず記載してください。
開示請求の理由(目的)が”コロナ”に関するものであれば、本来なら伏せられるはずの氏名等も記載してくれます。
なお、データの閲覧であれば、本人なら当日に閲覧ができて、その写真を撮影させてもらえるはずです。
でも、その場で写し(コピー)は貰うことができません。
書面での交付を希望される場合は、その旨を伝えて請求してください。しかしこの発行には、30日程度かかります。
支援金の申請期限に間に合うのか、注意してください。
閲覧・写しの交付の可否についても、まずは管轄の税務署に相談してみてくださいね。
【追記】この事業復活支援金の審査においては、確定申告書の閲覧及び交付による書面は、「納税証明書(その2:事業所得用)」とセットで申請をする必要があることが判明しました。保有個人情報を閲覧及び交付請求して得られたこの書類は、単体での確定申告書(控え)としての証拠書類としては不十分で、納税証明書を付して納税の事実を証明することにより、証拠書類として審査対象にすることができるようです。
【補足】過去の確定申告書の控えに受理印が無い場合
控えはあるけど税務署の受理印が無い場合は、事業復活支援金の申請の際に、その該当年の納税証明書(その2:所得金額の証明)を証拠書類として提出してください。
この証明書で確認をしてくれます。
まとめ
過去の確定申告書の控えが、どこを探しても見つからない場合は、税務署に「保有個人情報開示請求」をしてみてください。
その場合は必ず、「コロナによる影響から事業復活支援金の申請をするため」などの理由を付して請求してください。
新型コロナによる大きな打撃から脱却するために、事業復活支援金はその下支えとなってくれるはずです。
過去の確定申告書を紛失したからと諦めずに、要件に該当する方は事業の復活を目指して頑張ってくださいね!
(事業復活支援金に関するお問い合わせ、ご相談は「事業復活支援金相談窓口 電話0120-789-140」)にお願いします)