土地の登記簿と実際の面積の相違|売買や相続ではどっちが優先されるの?その原因は?調べる方法は?
宅地の実際の面積が、登記簿の面積と大きく違う場合がある!?
一般的に家が建っている土地の場合、普通はイコールであるはずです。
でも希に、家の建っている敷地の面積が、登記簿の土地の面積と違っている(ズレている)場合があるのです。
しかも、誤差の範囲とかではなく、結構な面積(広さ)で、です。
え?どういうこと?そんなことあるの?と思われるかもしれません。
この場合に困るのは、登記簿の面積が宅地(敷地内)の面積だと信じて家を売ろうとした場合などです。
思ったほど高く売値が設定できなかったりしますので。
その原因は、公衆用道路かもしれない
おそらく原因の多くは、測量時の誤差程度に留まるのですが、面積が大きく違う場合は、登記簿上の宅地の面積に「公衆用道路」の部分が含まれていたりする場合が考えられます。
通常は、有り得ない話です。しかし、不動産屋さんによる物件情報には、建物が立つ土地の情報(面積)しか記載がないものが、たまにあります。これをよく分からないままに買っていたということが生じなくはありません。
具体的に見て行きましょう。
登記簿では、土地が宅地として100㎡と記載してあったとします。
当然ながら、この面積(数値)は、正しいはずです。
なにしろ土地家屋調査士さんが、適正に測量などして登記されているのですから。
この土地を売ろうとしたところ、実際に不動産会社に売価を査定してもらったら、土地のうち20㎡は公衆用道路の部分が含まれていることが分かったとします。
すると、実質的に宅地として評価される(値段がつく)のは、80㎡の部分のみとなります。
公衆用道路は、基本的に評価されませんから。
値段がつかないのは、文字通り公衆の用に使われる土地なので、勝手に用途を変更したりできないからです。
どちらかというと、資産というよりも、「負担」の要素があると言えますね。
だって、災害の発生や経年劣化による地面の凹凸の修繕など、公衆の通行のために、基本的には自費で負担せざるを得ない場合があるからです。
登記簿に記載のない公衆用道路の存在を見分ける方法は?
それは、市区町村の「固定資産課税台帳」を閲覧するのが、一つの方法となります。
いわゆる「名寄せ」を行います。
名寄せとは、所有者の名義で台帳に記載されている物件の、全てを閲覧する内容の請求をすることを言います。
これにより、市区町村で「公衆用道路」として宅地と区別して評価されていれば、物件について、その状況(現況)を知ることができます。
また、「固定資産評価証明書」でも通常は記載されるので、分かります。
仮に分筆されている場合には、請求の方法によっては記載されませんから、ご注意下さいね。
登記簿上と課税台帳上の記載が違っている場合がある
本来なら、登記簿上も所有者の責任で、ちゃんと用途(名目)通りの登録とすべきですよね。
多くの場合は、造成する際に、その土地において宅地と公衆用道路に分筆し、それぞれの地目で登記されます。
ただ、特に昔なら道路として分筆せずに、そのまま登記していることもあったのでしょう。
穿った見方をすれば、登記簿上(数字上の見た目)は、広い面積になりますし。
このような物件は登記と現況が異なっているので紛らわしく、気がつかない(知らない)のは仕方ないのかもしれませんが、もし売却をする時に気が付いたなら、予定が狂うかもしれませんね。
例えば「1㎡あたり10万円、登記簿では100㎡だから1000万円だ!」と喜んでいたら、実際は20㎡は公衆用道路であったために、結局800万円でしか値がつかなかった、とか有り得ますよ。
まとめ
登記簿と実際の面積にズレがある場合、納得できる価格で売買できないことがあります。
親から相続した家に住んでいる場合など、意外と知らない何かの事情が潜んでいるかも。
また、上記で例として紹介した公衆用道路は、相続では見落としがちな財産です。
財産の現状を正しく知っておくために一度、調べてみられてはいかがですか?