田舎の相続にご用心!手続きが漏れていませんか?
田舎と都会では、必要な手続きに差がある!?
事例:不動産の名義が「お爺さん」だった!?
相続の手続きのご依頼をいただいて、財産調査をしていると、結構な頻度で名義が先代のままの財産が出てくることがあります。
例えば、お亡くなりになられた方(お父さん)の財産を調べていると、お爺さんの名前が出てきた、などです。
これって、大変なことなんですよね。
一世代前の相続手続きをするとなると、その当時の相続人の方がお亡くなりになられていたりするので、代襲相続となり、相続人の数がかなり増えているのです。
しかも、相続人同士の関係性は薄くなっていきますから、会ったことも話したことも無い人(例えば従弟とか)に、署名押印を貰わなければ、名義変更できない事態となっているんです。
私の経験上、お爺さんの名義のままである原因は、特に意図的なものではなく、単なる調査漏れのことが多いように思います。
調査漏れというと、まだ言葉は良いのですが、実際は、相続手続をした当時の専門家による「ずさんな調査」なのかなと思うことも多いです。
だって、本人さん(相続する人)が把握しているだけの財産しか、手続き(名義変更)されていないのですから。
当時の専門家は、そもそも調査したのかも、疑問です。
とりあえずやった、一応仕事はした感が、否めません。
なぜ手続きに漏れが生じるの?
田舎では、家(建物)の登記がされていないことが、よくあります。
いわゆる、未登記建物です。
これの所有者情報は、法務局(登記簿)ではなく、市役所(固定資産税課税台帳)で調べなければ、わかりません。
未登記建物だって相続できるのに、なぜ手続きが放置されたのかを考えると、当時の専門家は、
登記簿しか見ていなかったのと違いますか?
依頼者(相続人)からの聞き取りで済ませていませんか?
先代の相続(曾祖父からお爺さん)の際の資料は確認しましたか?
固定資産課税台帳を、漏れなく調べましたか?
送られてくる郵便物は調べましたか?
共有財産も調べましたか?
ここまで調べると、未登記建物どころか、登記されていながらも手続きが放置されていた土地が出てくることがあります。
お爺さん名義の不動産が出てくるのは、まさにコレです。
人が結婚するのは概ね20歳以上ですから、親子の年齢差はそれ以上、よって相続についても、一度発生すれば、20年ぐらいは通常は起こりません。
つまり、ずさんな調査と手続きをしても、長い年月において判明しないのです。
しかも、漏れている財産って、依頼者も知らない(忘れていた)土地とかが多く、喫緊に問題になることも少ないのでしょうね。
問題が先送りされてしまうと事態が悪化し、さらなる大きな問題となることを、もっと考えて欲しいものです。
相続の場合は、なおさらです
例えば不動産の売買なら、当然ながら依頼者が物件を特定していて、それの手続きをお願いするのですから、対象は漏れようがありません。
しかし、相続はよくわからないまま手続きを依頼されるという危うさが、そこにあります。
例えるなら、瑕疵のある自動車に乗り続けるようなものでしょうか。問題(事故)が起こるまで、その瑕疵には気付くことができません。
依頼した専門家に、「分かった!任しとけ!」とだけ言われて、詳しい聞き取りも説明もなしに、後日に書類が届き、ハンコだけ求めるような人なら、依頼は断ったほうがいいですよ。
このような専門家は、依頼者のために一歩踏み込んで、業務をしようとしていませんから。
しかも連絡はLINEだけで済ませようとする専門家もいるようで、私には信じられません。
関連書類や証明書などは、依頼者が自分のスマホのカメラで写真を撮って、LINEで送るんだそうです。
そうすると、書類が郵送で送られてくるので、署名押印して完了なんですって。
LINEがダメとは言いませんが、財産を移転するという大事な手続きをするのに、手間を省略しすぎではないですか?
その専門家いわく、「便利な時代になった」そうです。
日常業務に追われて、時間が惜しいのはわかりますが、もっと会いましょうよ。電話で伝えましょうよ。相談しましょうよ。
依頼にさえ応えればよく、自らすすんで余計な仕事を抱えたくない、増やしたくない姿勢が会話や態度に現れるのを避けるために、LINEなのかなあ?
逆に、うるさいぐらいに確認してくる専門家はどうですか?
「いろいろ言ってきて、面倒くさいな」と思われるかもしれませんが、見えない問題がないか、綿密に確認してくれているかもしれませんよ。
もし問題が発見できれば、今なら間に合うかもしれませんから。
物理的ではなく気持ちの上で距離が近い専門家なら、きっと問題解決のため、アイデアを出してくれるでしょう。
そして手間は惜しまず、一方で依頼者の負担は少なくなるよう、努力してくれるはずです。
まとめ
都会と田舎では相続の手続きに差があります。特に田舎にお住いの方はご注意を。遺言書による対策も重要ですよ。