田舎の長男なら、ぜひ遺言書の作成を!相続でトラブルを避けるための知恵
後継ぎが果たす役割とは言いたくありませんが、地方では未だに、家督相続のような風習が根強く残っています。
名家の長男に生まれただけの理由で、どえらい重いものを一生背負わされて生きていくのです。
だったらせめて、余計なトラブルは避けたいものです。
田舎の後継ぎ対策として遺言書を作成すべき
考察のため、相続を前提とした事例を設定してみます。
・先祖代々続く名家の長男A
・結婚しているが、子どもはいない
・長男Aには兄弟がいる
・妻にも兄弟がいる
このケースは遺言書を書くしかない、と思います。
なぜなら、トラブルになることが容易に推測できるからです。
そのイヤ~な臭いがプンプンします。
もし、この長男が亡くなったとします。
すると、相続人は妻(割合3/4)とAの兄弟(割合は全体で4/1)です。
「なーんだ、4分の3も妻が貰えるのなら、いいじゃん」と思われるかもしれませんが、法律上の権利分が4分の3と決められているだけなんです。
問題なのは、この割合を参考に相続人の間で遺産分割協議、つまり合意をしなければならないことです。
長男Aの兄弟側は、家柄を重んじ、「長男A側の親族(血族)が家を守るべきだ。だから家は渡せない」などと、妻に話をするかもしれません。
でも、妻にも生活があります。
そう簡単には譲れません。
すると、長男Aの兄弟側は、4分の1の権利があるばかりに、無理難題を突き付け、すんなりとハンコを押してくれない可能性があります。
ここで問題になるのは、Aの死亡後の手続きの期限です。
仮にAの財産が代々続く家と土地が、そこそこ地価の高い地域にあったとすれば大変です。
田んぼや畑や山も、いっぱいあるかもしれません。
さらに預貯金もあれば、相続税の対象となるでしょう。
相続人の間で合意ができないままで、税金の納付期限は刻々と迫ってきます。
税務署は、相続が完了しないことを理由に、納税期限を猶予してくれません。
期限を過ぎれば容赦なく、延滞税の対象となります。
Aの兄弟は、合意をするための条件として、足元を見るかの如く、4分の1の価値以上を要求をしてくるかもしれません。
なにしろ、妻側に所有権を移転させると、夫婦には子どもがいないので、長男側からすれば、土地と家などの財産が、姻族側に渡ることになります。
妻側の持分が入ると、このケースでは妻に兄弟がいますから、二次相続、つまり次に妻が亡くなったときに、さらに問題が大きくなります。
両家の当事者が亡くなっている状況で、古い家のしきたりを守ることが前提の協議は、困難を極めるどころか、同じテーブルに関係者が揃うことも難しいかも知れないからです。
先のことを考えれば、今が唯一の交渉時と考え、Aの兄弟側は安易に妥協はしないと考えられます。
もはや、双方が納得できる落としどころは、見つからないかもしれません。
田舎でなくても、兄弟姉妹の相続は、よくモメます。対策は必須だと思います。
相続は、理屈ではなく気持ちが優先される
感情の問題、人の気持ちの問題です。
もちろん、これにお金が絡みますから、ますます事態は混乱を極めます。
法律で4分の1とか4分の3の権利があると言っても、法定の相続人の全員で合意しなければ、問題の解決に一歩も前に進まないのです。
まとめ
地方都市(田舎)の相続トラブルを防ぐ方法は、生前に遺言書を作成するのがベストです。
年齢に関係なく、人の余生は分かりません。
突然の不幸に見舞われることも有り得ます。
元気なうちに、ぜひ思い切って行動をしましょう!