子どもがいない人は、なぜ遺言書を書くべきなのか|相続はどうなるの?その理由とは?

2019年8月10日

兄弟姉妹に自分の財産を相続させたいですか?

相続する者には順位があります。

子どもがいなければ、法定相続人に親か兄弟が入ってくる

配偶者は常に相続人です。

  • 第1順位は子(2分の1)
  • 第2順位は直系尊属(つまり実の父・母で3分の1)
  • 第3順位は兄弟姉妹(4分の1)

なお、子も実親も兄弟姉妹もいない夫婦の場合、妻が100%取得します。

誤解を恐れず申し上げるのなら、両親はまだしも、”自分の兄弟姉妹に財産を譲りたいですか?”です。

一般的に考えるのなら、自分の財産を譲りたい相手は、やはり妻と子でしょう。親にも育ててもらった恩がありますし、老後に楽をさせたいというのは、子ども心としてあると思います。

大手企業の事業承継でも、そうですよね。創業家一族というものは、自分の直系に跡を継がそうとします。

それが人の性と言いますか、生物としての本能と言うべきもののようです。例え優秀な部下がいても、会社のために最善の選択をせずに、自分の息子に跡(地位)を継がせようとするのは、生物学的には当たり前の行動なのかもしれません。

政治の世界でも、そうですよね。2世・3世議員がたくさんいます。選挙区を超えて、自分の子どもの全てを政治家にしている議員もいます。

相続においても、これは生存本能とも関係するのかもしれませんが、自分の子孫が反映するよう、直系に財産を繋げて行こうとするのが、自然な考えなのかなと思います。

誰に財産を譲りたいのか、その気持ちが大切

子どもがいない夫婦は、どうでしょう。例えその人物が相続人でなくても、自分の後を継いでくれるのなら、又は自分の死後の面倒(お墓の管理とか)とみてくれるのなら、財産を譲りたいものだと思うのではないでしょうか。

つまり、自分の財産の行方を考えた場合、「兄弟姉妹」と「近くの存在の大切な人」なら、どっちを優先したいですか、ということです。後者だと思う人も、多いのではないでしょうか?

だとすると、その大切な人に財産を譲る(遺贈する)ためには、遺言書を書くしかありません。

なぜなら、財産を有する人に子がなく、実親も亡くなっていて、兄弟姉妹が存在するのなら、自分の死後は自動的に、兄弟姉妹が財産を相続する権利を有することになるからです。

兄弟姉妹は第3順位にて相続する権利が法律で認められています。国は個人の財産を保全する義務がありますから、財産が宙ぶらりんにならないよう、兄弟姉妹までを相続人として定めているのだと思います。

でも、自分が子どもの時は兄弟姉妹との関係性は高いですが、成人をして結婚したなら、どうですか?その他の人物との関わりの方が高くなりがちではありませんか?

もちろん、「今も兄弟の交流が密で、頼りにしている」という方は多いと思いますし、そのような関係性の場合は、それほど相続について準備をする必要がないと思います。また、一族の財産は親族で受け継ぐのが筋だという意見も、道理だと思います。

でも、「最近は全く兄弟と交流もなければ連絡もしない。元気に過ごしているのかも分からない」というようなことも、現代社会では多いと思います。この場合は、遺言書の作成を検討されるべきだと思います。

法定相続人である兄弟姉妹がいたとしても、それ以外に財産を譲りたいと思う人物がいるかどうか、まず考えることをお勧めしたいのです。

友人も候補ですし、場合によっては世話になったお隣さんだったりするでしょう。そのような人物がいなければ、自分の御霊を永代供養してくれるお寺や、社会貢献をしている団体、地元自治体に寄付するのも方法かもしれません。どのようにすれば財産が有効に活用してもらえるかどうか、考えることが重要だと思います。

法律で定められた相続人だからと言って、そのまま兄弟姉妹に相続させるのが妥当かどうかは、その人の状況に応じて違ってくるはずです。

財産は、受けることに相当な人物が相続する(遺贈される)べきではないでしょうか。

意志(気持ち)の実現には、遺言書が必要

遺言書がなく、もし兄弟姉妹が相続する権利を得たなら、配偶者との遺産分割協議が必要になります。これが難航するのです。様々な条件を提示されたり、連絡が取れなかったりして、兄弟姉妹からの署名・押印が得られないケースが本当に多いのです。しかし、遺言書があれば兄弟姉妹の権利を排除することができます。兄弟姉妹には「遺留分が無い」からです。

これにより、配偶者の単独で相続する権利を確保し、かつ負担を無くすことができます。

その実現のためには、遺言書の作成は欠かせません。

まとめ

子どもがいない人は、誰かに財産を譲るため遺言書を作るべきだと思います。

ぜひ、”信頼できる”専門家にご相談ください。

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