遺言書にセカンドオピニオンを!今こそ見直しのススメ|本当にその内容は適切で安心ですか?
不利益な遺言書の作成に誘導する専門家がいる?
先日のこと、とある専門家A(何の士業者かは言えません)が作成を手掛けた遺言書を見て驚きました。
私からすれば、「この内容を、本当に遺言者が望んだの?」というものです。
遺言書を書かれた人がお亡くなりになったので、遺言を執行されようとしたところ、問題が生じたということで、私にご相談がありました。
相続手続きが進まなくなったのです。
その原因は、遺言書の中で相続人が間違っているんですよ。
相続人でない人を相続人として遺言書に記載したので、遺言書による手続きの執行が出来ないのです。
まあ、人間なのでミスはあるかもしれませんが、専門家が関与したにも関わらず、お粗末ですよね。
私にご相談された人は相続人なのですが、怒ってらっしゃる理由は、その携わった専門家Aが、全く謝罪しないのだそうです。
このミスにより、実際に損害が生じているので、誤ると責任問題になると、その専門家Aは思ったのでしょうか。
誤らなくても責任があるのは確かですから、ミスはミスとして素直に認めないと、先には進まないように思います。
場合によっては、自分への報酬を返上する覚悟で、少しでもミスによる損害が減るよう、努力することが必要ではないでしょうか。
それが士業者がとるべき姿で、相続人に対する誠意、責任の取り方なのだと思います。
遺言書により金銭を得ようとする作戦が露骨
金銭をがっつり得ようとしているのは、相続人でも受遺者でもありません。
この専門家Aと、関与した複数の専門家の先生方です。
当時、複数の専門家(他の士業)が関わったようですが、それぞれが儲かるような仕組みで遺言書が作成されているようにみえます。
あくまで私の推測のため、具体的に書くと名誉棄損の可能性もあるので差し控えますが、「これはひどい」の一言です。
まず、遺言書を作る前段階として、現状を変更する手続きを、費用を掛けて行っています。
そして遺言書の作成費が、わざわざ高くなるような仕組みで、遺言書を作成しています。
さらに遺言書にて、遺言執行者には専門家Aが就任して、かなり高額の遺言執行者報酬を得られる内容にしています。
本当に遺言者が希望した内容になっているか?
今回の場合、遺言者がお亡くなりになられてから判明した事実なので、真実は分かりません。
ただ、当時の様子を知る相続人さんは、遺言者の希望した内容にはなっていないはずとおっしゃいます。
なにしろ、不必要で無関係の受遺者が、しかも複数人も遺言書に記載されていて遺贈を受けるのですから。
しかし結果として、専門家Aの失態により遺言書にはミスがあり、遺言書通りには実現しないのです。
それにも関わらず、この専門家Aは遺言執行者として、百数十万円単位で報酬を得ることが遺言書により、指定されているのです。
遺言執行者にしても、専門家Aが就任する必然性はありません。相続人もしくは受遺者が就任するのも方法だったと思います。
今回の場合、指定されてしまったばかりに、遺言執行者である専門家Aの独壇場になっています。
さらに恐ろしいのは、ミスを追求して専門家Aの機嫌を損ねると、遺贈の部分において、遺言執行者として相続の手続きが進まない、なんて理不尽な状況になっています。
これ以外にも言えないことが他にあって、本当にひどいです。
本当に”信頼できる人”に仕事を依頼していますか?
私はこのブログで、「遺言書は専門家が関与して作るのが安全・安心ですよ」と言ってきましたが、一部で間違いでした。
”信頼できる”専門家に任せるのが、安全・安心できますよ、です。
「依頼者の財産を食い物にしようとする」とまでは言いませんが、少しでも高い報酬を得ようと、知恵を巡らせるような専門家もいることを、今回つくづく痛感しました。
我々のような士業者は、依頼者の利益を最優先にすることが使命のはずです。
しかし中には、遺言者の意思はそこそこに、専門家として関与する者たちの利益を最優先に、言葉巧みに誘導するような人が、残念ながら存在するようです。
今回の場合も、遺言書にミスが見つかったことで、セカンドオピニオンとして私に声が掛かりました。
私が直接この問題に関与することはできませんから、問題点を洗い出した上で、私と連携している弁護士さんに引き継ぎました。
もし今回、専門家Aが作った遺言書に記載ミスがなければ、この遺言書は関与した士業者以外の目に触れることはありませんでした。
だって、 遺言執行者は専門家Aですから、自分に有利な内容に作って、自分で執行するだけですから。
もちろん犯罪行為ではありませんが、職業としての倫理は問われる事態だと思います。
適切とは言い切れない遺言書が作成され、明るみにでることなく、密室のような状態で財産は執行されてしまう。
そこに関与した専門家は儲かる。自由報酬ですから。
しかも、「先生、ありがとうございました」と感謝されながら。
許せないなあ。
なにしろ、遺言を書いた人も、相続される人も、法律には素人です。
相続人からしても、専門家の先生ということで信頼していますから、疑いの目も向かないでしょう。 好き勝手が出来てしまいます。
しかし、こんなことは、士業全体の信頼と存在意義を失墜させてしまいます。
同様のケースが横行している可能性がある!?
信じたくないことですが、無いとは言い切れないかもしれません。
これを避けるためには、遺言書を作った後で、もし心当たりがあったり、ご心配な場合は、セカンドオピニオンとして別の専門家に遺言書を見てもらうのも方法だと思います。
利害関係のない第三者の立場として、冷静で適正な意見が得られると思います。
その場合、もちろん遺言者がご存命の時にお願いします。
おかしな部分が判明した場合、遺言書は何度でも書き替えることが出来ますから。
その場合のセカンドオピニオンの探し方は、少し離れた地域で、かつ、作った専門家とは違う士業者がいいと思います。
例えば、京都市で弁護士にお願いして作った遺言書なら、セカンドオピニオンは亀岡市の行政書士とか。
南丹市で税理士にお願いして作った遺言書なら、 セカンドオピニオンは京都市の司法書士とか。
同じ地域であったり、同じ士業であったりすると、知り合いだったりして、セカンドオピニオンとして機能しない恐れがあるからです。
士業の世界(ムラ)は、案外狭いのです。
また、士業者は専門業務がありますから、税理士は相続税の軽減を最優先するあまり、財産が分散してしまったり、司法書士は土地・建物に意識が向いていたあまり、預貯金や株等が抜け落ちていたりすることがあるかもしれません。
弁護士だから、税理士だから、司法書士だから、行政書士だからではなく、大切なのは「人」
大切な財産を記載する遺言書ですから、そのサポートを誰に頼むのか、お願いするのかです。
誠実に仕事をする人を見分けることが大切です。
でもこれは、至難の業です。
しかも、それが知人などからの紹介なら、信じるしかありません。
その結果として遺言書を作ったばかりに相続人が困ったり余計なお金を負担するような事態は、避けなけれればいけません。
なぜセカンドオピニオンに行政書士がオススメなのか
遺言者を作る場合の関与者を考えてみます。
- 自分(自筆証書遺言を作った場合)
- 弁護士(公正証書遺言)
- 税理士( 〃 )
- 司法書士( 〃 )
- 行政書士( 〃 )
何か気付きませんか?
俯瞰的に網羅的に遺言書の内容を見る人は、弁護士と行政書士です。
税理士は税務、司法書士は登記業務に特化した資格業と言えます。もちろん相続に特化する先生もいらっしゃるので一概に言えませんが、セカンドオピニオンとしての費用対効果では、行政書士が有利なのではないでしょうか。これは遺言書を第三者の立場から相対的に見るという点について、あくまで個人的な見解によりますので、ご了承ください。
まとめ
遺言書のセカンドオピニオンを、ぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。
遺言書の作成において、セカンドオピニオンの関与が常識的な社会になれば、上記記載のような極端な事例は、減っていくように思います。