固定資産課税の名義が親やお爺ちゃん|相続で所有者の名義を変えないことのリスクとは?
固定資産について
「固定資産あるの?いいなあ」とばかりは言えませんよね。固定資産、つまり「動かない資産」すなわち、「不動産」には、地方税である固定資産税がかかります。
不動産を持ってらっしゃる方は、都市計画税とともに納付しなければならないのですが、その内訳(明細)は、毎年5月か6月に、市町村役場から、固定資産税及び都市計画税の「課税明細書」で確認することができます。
納税義務者である自分以外の名前が記載されている?
例えば、自分の父や母、もしかすると、おじいちゃんやおばあちゃんの名前があったりすることも。
そうであれば、状況を確認するなど、早く何とかするのがいいですよ。
相続が完了していない可能性があります。その理由の主なものとしては、
- 建物が未登記である
- 土地が共有である
役所は税の徴収のため、厳密に調査をして、納税義務者を確定しますから、もし相続が放置されて不動産の名義がそのままであっても、きちんと相続人に課税します。
相続財産が共有であれば、その代表者に課税します。ただし、納税義務者を変更するのみで、勝手に所有者の名義の書き換えまではしてくれないのです。
また原則として、共有者の個別から税の徴収をしたりはしません。
父親やお爺ちゃんの名前のまま問題
「役所から自分宛てに固定資産税の納税の通知があった」という事実をもって、財産を相続した、手続きも完了していると思っている方がいらっしゃることです。
でも、相続手続きに漏れがある方の場合は、役所の税を扱う窓口で課税台帳を閲覧してみると、名義がそのままになっていることがあります。
登記済みの不動産の場合、不動産の所有権を第三者に主張(対抗)するには相続を原因とした所有権の移転登記をすることが必要です。
でも、未登記建物には、登記による公示力が働きません。市町村の固定資産課税台帳の名義が本人でなければ、なおさらです。
これを更正するには、その相続人が届出を行わなければなりません。
土地・建物で登記が出来ている場合と、できていない場合の違い
適切に不動産の移転登記をすれば、その情報は役所が把握しますので、役所の課税台帳(固定資産税を課税する名宛人)は、自動に変更されます。
しかし、その逆はありません。
例えば、死亡届を役所に提出しても、当然ながら法務局はその事実を知らないのです。
ちなみに、税務署は、死亡の事実を把握します。
なぜなら、相続される遺産が国税である相続税の対象であれば、課税するためです。
考え方は市町村も同じです。税金を徴収するためなら、行政は積極的に動きます。
一方、市民である私たちは、自分の権利は、自分で守る(権利を保存する)必要があり、そこまで行政サービスは手厚くはありません。
固定資産税の課税台帳の名前と課税対象者が違っている場合のリスクとは?
例えば自分に兄弟がいて、親からの財産を相続するとします。
その後に兄弟がもし死亡すれば代襲相続が発生し、その者の子ども(自分からすれば甥っ子や姪っ子)が相続人となりますから、自分との関係性はどんどん希薄になります。
相続人が増えると遺産分割の協議は難しくなる傾向ですから、ますます相続手続きを完了させることが困難になり、「あの時に、ちゃんとしておくべきだったなあ」、と後悔する事態も想定されます。
まとめ
未登記建物や共有の土地などがある場合、相続による手続きの漏れで、名義がそのままの場合があります。
これはリスクでしかありません。
「ん?これ何だろう」と思ったら、今が解決の時かもしれません。
国や行政は、不安定な状況を嫌います。
「相続をほっといたら、ラッキーだった」、なんてことがあれば、誰も面倒な手続きをしなくなります。
不動産の名義人がこの世に存在しないことは、まさに権利が「不安定」な状態だと言えます。
放置しておいても、いいことはありませんよ。
亡くなられたかた(被相続人)の財産を引き継ぐのですから、その権利も義務も適切な時期に行っておくことが、遺されたかた(相続人)としての使命かもしれませんね。