看板猫がお客様に怪我をさせたら、その補償はどうなるの?保険の適用は?飼い主責任はどうなるの?
保険の種類にご注意を!
さわだ書店の看板猫の「くるみちゃん」は、おてんば娘です。
しかも、その暴れっぷりは、なかなかのものです。
もう、しっぽパンパン!にして、ドドドとブルドーザーのように突進して駆け回りますから。
動物病院に行くと獣医さんら三人がかりで押さえつけないと予防注射ができないほど。
元気なのは結構ですが、もう少し、しおらしい乙女のような落ち着きも欲しいところ。
言葉は悪いですが、もう、「自走する危険物」ですよ。
目の前にある危険を回避するために、爪はこまめに切るようにしていますが、歯も尖っています。
もちろん、じゃれている時は加減をしてくれますが、調子に乗って遊んでいると、結構な力で引っ掻いてきます。
これがお客様で、もし怪我など負わせてしまったら、大変です。
民間保険会社の賠償責任保険
うちの店も、これに加入しています。
さわだ行政書士事務所もさわだ書店も、どちらもです。
これがいわゆる、うちが勝手に「くるみちゃん保険」と名付けて呼んでいるものです。
1年毎に更新する契約になっています。
この保険は、業務を行う店舗内において発生した偶然の事故において法律上の賠償責任を負った場合に、保険会社がその費用を補償してくれるというものです。
例えば、店の看板が落下して通行人に当たったとか、濡れていた床に足を滑らせた客が転倒した等が原因となって、第三者に怪我を負わした場合に負担した治療費の実費が補償されます。
このような保険が猫と何の関係があるのか、と言えば、当店の猫は「看板猫」として飼っているおかげで、大いに関係があるのです。
「看板猫」は営業上の広告物であり施設の附帯物と判断できるので、店舗が保有する「物」扱いなのです。
店舗の看板や床と同列です。
なので、うちの猫が万が一、お客様に怪我を負わせた場合であっても、補償の対象となります。
ただし、猫が店の従業員に負わした怪我は補償されません。
この場合は賠償責任が問われるのではなく、労働災害に該当すると考えられます。
「ペット保険」はどうなの?
「ペット保険」と「賠償責任保険」は違います。
ペット保険は高額になりがちなペットの治療費を補償するというものですが、賠償責任保険は目的が違って第三者に対する補償ですから、うちの猫自身の病気や怪我などの治療費に保険は適用されません。
一方、「賠償責任保険」は店舗外でも適用されるのか、考えてみましょう。
自転車で配達中に起こした事故は、どうなるの?
職種によっては、例えば「お蕎麦屋さん」は、自転車で出前を配達されていますよね。
最近、自転車の搭乗者への責任が問われるような重大事故が多発して社会問題になっています。
平成二十五年の判決ですが、当時小学五年生だった少年が乗った自転車と歩行者との事故で、自転車に乗っていた少年の母親に裁判所は約9500万円の高額な賠償を命じたことは、記憶に新しいと思います。
さらに今後は自転車の搭乗者に賠償責任を求める傾向が高まると予想されます。
その責任を回避するためには、自転車向け専用の傷害保険が存在します。
この保険に加入していれば契約内容にもよりますが、先に例示した約9500万円の賠償金は、補償金額の範囲内で保険から支払われると考えられます。
しかし、この自転車向け傷害保険は、個人が対象の賠償保険なので、業務中の事故は補償の対象外です。
では、どうすればいいのか、ここで再び「賠償責任保険」の登場です。
例えば本の配達などの業務中において自転車を運転して発生させた事故、つまり店舗外で発生させてしまった事故も、「賠償責任保険」で保証されることが多いようです。
うちの店で加入している賠償責任保険も、その適用があります。
また、従業員が施設内で不注意から来店客に怪我を負わせた場合も補償されます。
ちなみに保険料は補償内容と店舗の面積、売上額等により異なりますが、安いもので年間で数千円程度です。
尚、保険会社が販売する商品によって、補償内容は大きく変わりますので、ご注意ください。
まとめ
看板猫(犬)は、事業所が所有する”物”として扱われるので、店舗に対する保険に加入しなければ、保険による補償を受けることができません。いわゆる「ペット保険」は、補償の対象外です。
日本もアメリカほどではありませんが、訴訟事例が多くなり、民事上の損害賠償額も高額になってきています。
もし、些細なことであっても店舗側の責任から多額の賠償金を請求される事態になれば、店の存続すら危ぶまれることにもなります。
事業を行っている方は、規模の大きさにかかわらず、ぜひ加入をおすすめします。