エンディングノートを書けば、遺言書は不要なの?その違いは?法的な効力はあるの?
さて、今回も相続に関することで、「エンディングノート」について、お話します。
一昔前に、テレビなどで取り上げられて、「エンディングノート」が話題になりました。
これは書籍の形式でも市販されていますので、当店(さわだ書店)でも販売しています。
エンディングノートの一般的なイメージとしては、「手順通りに書き進めれば、終い支度(終活)が出来ちゃう、とっても手軽で便利なもの」という感じでしょうか。
確かに、間違ってはいない気がします。
しかし、エンディングノートを書いておいたからと言っても、それだけでは万全とは言えず、なにより遺言書の代わりになるものではありません。
「エンディングノート」と「遺言書」とは、全く別物でその役割が異なります。
最大の違いは、「法的な効力を有するか否か」です。
遺言書は、遺産の分け方を具体的に指定しておくなど、亡くなった方の最後の意思を書き記しておくための「法的な効力を有する書面」です。
よって、法律のルールに従った記載が必要となります。
一方、エンディングノートは、自分が死亡するなど、認知症もしくは重大な病気など、もしもの場合に備えて、家族などに対して自分自身のことをはじめ、財産に関することや緊急の場合の連絡先、死後に希望することなどといった「知らせておきたいこと」を書き記す、いわば親族への「お手紙」です。よって、何でも自由に書き記すことができます。
よくあることとしては、身内が亡くなられたときに、「遺言書が出てきた!」としてその書面を拝見するのですが、そこには、「通帳はタンスの中にある」とか、「死死亡後は〇〇さんに連絡して」とか、「財産は子どもたちで話し合って分けること」など、単なる指示もしくはお願いが書いてあるだけだったりします。
これでは、遺言書の体裁も形式も満たしておらず、故人の意思(希望)を実行するための強制力(法的な効力)を持たせることができていません。
これが、エンディングノート(みたいなもの)だけでは不十分という理由です。
よって、もしもの時に備えるためには、「エンディングノート」では、自分の終末期および死後の取り扱い(例えば生前中の医療や介護に関するこのとのほか、遺言書の有無、葬式や納骨などの死後に関することなど)についての希望や、財産に関することなど、家族や周囲の人に伝えたいことを書き残しておきます。
このとき、エンディングノートを書いたという事実を、必ず周囲の方に伝えておいてくださいね。
そうでないと、せっかく書いたのに発見されないこともあるからです。
まとめ
エンディングノートは、自分の意思を伝えるためには効果的です。しかし、法的な効力はありません。よって、「遺言書」も書いておきましょう。
遺言書は法的な効力を持つよう記載事項に留意することが必要ですから、専門家にご相談されることをおすすめします。
このように遺言書とエンディングノートは、その役割に大きな違いがありますから、両方あると万全と言えますね。