遺産に農地あり!手続きは、どの専門家に頼めばいいの?
農地がある相続は行政書士がおすすめ!
相続で手続きが大変と言えば、やはり不動産の名義変更だと思います。
不動産の場合、名義変更をするには、「登記」をすることが必要で、その専門家と言いますか、代理人として登記申請をすることができるのは司法書士の先生だけです。
よって、私たち行政書士が不動産を含む相続手続きを依頼された場合、登記申請の部分は、提携する司法書士の先生にお願いすることになります。
この時の疑問として、「じゃあ、行政書士と司法書士の二重に報酬が発生することになるので、高くなるんじゃないの?」と思われるかもしれません。
ご安心ください。当事務所では、案件に応じて提携先を選んでいますので、費用の部分では、初めから司法書士事務所に依頼されるよりも、総額では同等か、それ以下で完了するよう、努めています。
そうでないと、行政書士に依頼は来ませんから、ほとんどの行政書士事務所と司法書士事務所において、報酬額に差はないのではないかと思っています。
でも、自由報酬なので、同じ内容でも、事務所によってもちろん、差はありますよ。
事務所を選ぶポイント
重要なのは、報酬つまり代金が高いか安いかという以外の部分と言うことになります。
選ぶポイントとしては、何に重きを置くか、ですね。
例えば、信頼する司法書士の先生をご存じで、相続財産が不動産しかない場合、そのお一人の先生で手続きは完了しますから、お願いされる安心感はあると思います。
この場合は、値段に関係なく、安心感を大切にされた、賢明なご判断だと思います。
行政書士も同じですよね。近くに信頼できる行政書士をご存じでしたら、得られる結果は同じですから、安心感を優先されて、その行政書士の先生にお願いされるべきだと思います。
では、どの事務所を選ぶか、です。
もし、相続財産の不動産に「農地」や「森林」がありましたら、窓口は、行政書士に依頼されることをオススメします。
農地や森林は、相続が発生(所有者の死亡)したら、一定の期間内に、行政庁に届出をしなければなりません。
この場合の行政庁は地方自治体(市区町村)になります。
地方自治体への行政手続きは、行政書士だけが手続き代理を行えます。
司法書士の先生は、代理手続ができません。
私たち行政書士は、登記申請を業務として行うことはできませんから、必ず司法書士の先生に外注します。
しかし逆に行政書士は、私の経験上(知らないだけかもしれませんが)、司法書士の先生から、相続による農地もしくは森林の届出業務のみを外注されたという話は、聞いたことがありません。
もちろん、大多数の先生は、何らかの方法で適切に処理できるように業務されているとは思います。
依頼者の方に届け出部分は本人にお願いされて、その分は報酬額から安くしておくとか、あくまで推測ですが。
あまり大きな声では言えませんが、行政書士でも「農地」と「森林」の届出はしないままで、業務を終える人も中にはいると聞いたことがあります。
その理由は、「面倒くさい」ですって。
そら、あかんでしょ。
そんなこと言ってたら、ダメですよ。
農地も森林も、届出をすることは義務です。
法律で定められています。
でも、この制度は認知度が低いために、一般の方はご存じないことが多いです。
それを教えて差し上げて、適切に手続きするのが、私たちの仕事ではないですか。
農地を相続される際のご注意
農地には、土地賃貸借契約が結ばれていることがあります。
昔で言う、小作契約です。
これは書面をもって契約するもので、農業委員会が管轄しています。
この事実は登記簿には記載されないので、農業委員会に確認しない限り、当事者以外は知ることができない情報です。
契約である以上、ここにも相続が発生しますので、今後について、田畑を相続人が耕作をするか否かにかかわらず、適切に手続きをしなければなりません。
もし、貸主がその土地を売却したいとなっても、土地賃貸借契約を解除しない限り、農業委員会は許可をしてくれません。
登記簿上は、全く分からないんです。
もし仮に、土地賃貸借契約の事実を知らないままで売却の話が進んだ場合、しかも、相続手続きが未了のままで、相続人が複雑に増えていて賃貸借契約の合意解除ができない状況になっていたりすると、大きな損害が発生することも考えられなくはありません。
相続手続きは、不動産の名義変更だけではありません。
私は、相続財産に農地や森林が含まれている場合、当然ながら自治体への届出もセットで行っています。
先日も、農地の賃貸借契約の解除手続きを手掛けたところです。
まとめ
せっかく専門家に依頼されて、相応の対価をお支払いされるのですから、依頼先は適切に見極められることをオススメします。
司法書士の先生ほか弁護士や税理士など、他士業の先生方と常に協力関係でやっていくことで、依頼者の方には最大のメリットが提供できると考えています。