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常磐道あおり運転、逮捕された男が住所不定なのは、なぜ?

令和元年8月に発生したこの事件では、茨城県内の常磐自動車道において、あおり運転の末に車を高速道路上に停止させ、男性会社員を殴打して逃走しました。この男と同乗者の女は8月18日に逮捕されています。

報道によれば、警察は男を「住所不定(不詳)」としています。大阪のほか多数マンションを所有し、会社の代表も務める男が、なぜ住所不定なのでしょうか。代表を務める会社の商業登記簿を見れば、代表取締役としての住所の記載もあるはずです。

住所を適正に登録していないのは違法行為

住所とは、「生活の本拠」であり、「生活の本拠」とは、私的生活の中心を意味するものとされています。なお、日本人であれば出生届にて住所を定める(住民登録)ことになります。つまり、出生届が提出され日本国籍を取得していれば、生まれながらにして住所不定は、原則は有り得ないのです。 そして住所が変更になったなら届出ることが、法律(住民基本台帳法)で義務付けられています。今回の事件では、住所移転の届出が適切に行われていなかった可能性があるのではないでしょうか。その結果として”住所不定”となった理由として、主に次の2つが考えられます。

①住民登録による変更が放置されている可能性

日本で日本国籍を有する人が転居したならば、新しい住所地に住み始めた日(転入した日)から14日以内に「住民異動届」を提出しなければなりません。正当な理由がないのに、これを怠った場合、住民基本台帳法第53条の規定より、5万円以下の過料が課される場合があります。今回の場合、違う住所地にて生活の拠点があった、もしくは逮捕された女の住所地で生活をしていた可能性があるのではないでしょうか。

②住民登録が職権削除された可能性

住民登録がされている行政(自治体)において、その住民が実際に登録された住所地に住んでいないことが確認されれば、行政は職権で、その住民の登録を抹消することがあります。これを職権削除といいます。こうなれば住民登録がされていない状態となり、交付請求しても住民票が発行されません。

この2つのケースのどちらであったとしても、住民基本台帳法に違反していることは明らかだと考えられます。

運転免許証と保険証で住所が異なる!?

さらにこの事件の場合、運転免許証は愛知県の住所地だったとのことです。運転免許証は住所等に変更があった場合、その手続きをしなければ道路交通法第94条違反となり、2万円以下の罰金又は過料が課される場合があります。変更のための必要書類としては、新しい住所が分かるもの(証明できるもの)です。これには住民票や保険証などが該当します。

では、この事件の場合に照らしてみてみます。犯行時に使用していた高級外車のSUVは神奈川県の自動車ディラーから貸し出されていました。報道によれば、このディラーに提示されたものとしては、本人の運転免許証(住所は愛知県)と、保険証(住所地は神奈川県)だったそうです。ディラーにすれば大事な高級車を貸し出すのですから、本人確認は厳密にしたいところです。神奈川県内にあるディラーなのに、提示された運転免許証が愛知県では今後に取引が期待できる根拠がないために、保険証の提示まで求めて、神奈川県に居住している確認をしたのだと思います。わざわざ二重で本人確認をしたにも関わらず、実際は住所不定だったのですから、ディラーを欺く意志があったことは明らかだと思います。また、不適切に様々な住所地を持って居所を定めずに生活をし、公的な証明書類に適性を欠く記載(登録)をしておく行為は、法律を遵守する意識が、著しく乏しいと言えるのではないでしょうか。実際に警察が「住所不定」として公表したことで、少なくとも住民票の住所地には、今は住んでいなかったことが証明されたと言えると思います。もし住民票の住所を公表したなら、今そこに住む住所地にはマスコミや野次馬が殺到して、住民が大迷惑を被ったことでしょう。

その他に問われる法律違反

この事件では、傷害罪や道路交通法違反(高速道路上での行為について)、暴行罪(あおり運転により適用)、脅迫罪などが刑罰として該当する可能性があると報道されています。しかし、細かく言えば上記以外の法律違反に加え、代表取締役の住所地に変更があれば、その登記を2週間以内にしなければ、会社法違反により100万円以下の過料が課される場合もあります。

よって報道による刑罰以外としては、住民基本台帳法違反、道路交通法違反(免許証の住所変更義務違反)、会社法違反の可能性も考えられそうです。

今回の事件を通じて、普段は軽視しそうな法律違反にスポットを当てて検証してみました。住所変更は身近に起こることではありますが、手続きを過怠すれば様々な法律に抵触して違反となる可能性がありますので、ご注意ください。

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