抵当権が付いた不動産|親からの相続で担保の名義は兄弟姉妹!ローンや連帯保証の責任は誰が負うの?遺産分割協議の前に確認したいこととは!?

2019年12月30日

他人の抵当権は負担でしかない

親が死亡するなどで相続が発生した場合に不動産があれば、親から子へ、子から孫へという所有権の移転が順当となります。しかしその不動産に抵当権などの負担が付いていれば、相続することで負担まで負うことになります。これを調べずに、もしくはよく分からずに「長男だから仕方ない」と当たり前のように相続すると、大変なトラブルが待っているかもしれません。

親から相続する不動産に抵当権が付いている場合

具体的に考えるために、仮に登場人物を想定してみます。

◎相続人A(田舎の長男で、家の後継ぎとして育った人。父名義の不動産に父と同居して住んでいる)

◎相続人B(Aの弟で、近くに家を建てて住んでいる)

◎被相続人C(A・Bの父親で不動産の名義人)

※父名義の不動産(土地・建物)には抵当権が設定されている

以上の例において、被相続人Cの死亡により、相続が発生したとします。

順当に考えれば、長男である相続人Aが不動産を相続により取得するのが望ましいですよね。だって、後継ぎですし、その家に住んでもいますから。でも、相続をしてから、何らかの事由(抵当権設定者の債務不履行など)により抵当権者(金融機関など)が有する抵当権が行使されれば、競売などにより債権が回収されてしまいます。

つまり、相続人Aにしてみれば、自分に落ち度がないのに、自分の名義の不動産を手放すことになり、住んでいたとしても追い出される形になります。

これって恐ろしいですよね。

しかも、その抵当権は相続人の兄弟(姉妹)が設定したものだったら?

つまり、親(被相続人C)の生存中において、相続人Bが自分の家を建てるために、親が所有する不動産(後の相続によりAが所有者になった)に抵当権を付けて金融機関から借入をしていたとします。そして親であるCが亡くなって相続が発生したのなら、相続人Aは、この不動産を相続するべきでしょうか。

するべきというよりも、するしかない状況にあるのなら、相続人Aは極めて不条理な相続をすることになります。

相続人Bのための抵当権が、自分(相続人A)の不動産に設定されているなんて、Aは負担でしかありません。他人に責任があるのに、自分の住んでいる所を奪われるリスクがあるからです。また、もしその家が老朽化したり被災したりして修繕やリフォームをしたいと思っても、この不動産に抵当権を付けてお金を借りることが難しくなります。だって、Bの借入金の債務者が1番抵当権を付けていますから。2番抵当権でもいいという金融機関が現れない限り、Aは担保である不動産を供出して大きな借金をすることが出来ないからです。

逆に、相続人Bにとっては、メリットのみではないですか?Aが経済的に破綻してもBに何ら影響はありません(借金と無関係)が、Bが破綻すればAの財産に影響する(最悪奪われる)のですから。兄であるAが、万が一の時のために自分(B)の借金を肩代わり(物上保証)をしてくれている構図となっています。

兄弟なのに不公平極まりないと思います。

親である被相続人Cは、二男のBが家を建てるためにしたことでしょうけど、長男であるAが可哀想な事態になってしまいました。

しかも親がローンの連帯債務者だったり、連帯保証人だったとすれば、その債務の問題も残ります。

参 考 記 事

 

抵当権が付いた不動産の相続は、どうすればいいの?

そもそも、子(兄弟)に不公平に影響するような抵当権は、親として付けるべきではなかったと考えます。そして、上記の例の場合において、弟の抵当権が付いてしまっている不動産を兄が相続するほかないのであれば、親としてAに金銭で補償してあげるべきではないでしょうか。具体的には、親である被相続人Cが、遺言書を書いておくべきなのです。

「土地・建物はAに相続させる」

「預貯金・現金は、A(兄)に○○、B(弟)に○○相続させる」

遺言書にてこの〇〇に、抵当権の価値(Bの借入金)の返済額に見合うような金額(もしくは割合)を記載してAが金銭を確保できるようにしておけば、最悪の場合(抵当権の実行)が生じたとしても、Aは住む場所(家)を手放さずにすみます。

また、遺言書がないままで既にCの相続が発生してしまったのなら、Aは不動産の抵当権をマイナス要素として、Bとの遺産分割協議の材料にしたらよいのです。具体的にはケース・バイ・ケースになりますから、相続人Aは専門家の知恵と経験を活用して、将来において不利益を被らないような相続をAはするべきです。

まとめ

子どもに負担を掛けないようにするのは、親の責任!?

相続財産は、プラス(不動産・現金・預貯金など)ばかりではなく、マイナス(借入金・連帯保証人としての債務責任など)も含まれます。このままでは、相続する妻や子どもに不利益が生じることが予想されるのであれば、ぜひ遺言書を作成して、万が一の場合に備えましょう。財産を所有している当事者であれば、将来のトラブルを防げる余地があります。

抵当権を付けることは、自分の責任です。その負担をそのまま相続人(子など)に押し付けるのではなく、回避する仕組みを作っておくのが責任を果たすことになるのだと考えます。

相続が発生した後では、もう遅いかもしれませんよ。

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