相続による事業承継は、ジャニー喜多川氏を参考にすべき!?遺言書の作成がポイント!
莫大な資産は誰が引き継ぐべき?
ジャニーズ事務所は法人(株式会社)ですが、ジャニー喜多川氏が一代で築いたものですから、その資産の行く末は本人の意思に基づいたものであるべきだという考え方もできます。
しかし、ジャニー喜多川氏には妻も子もいらっしゃいませんから、法定相続人は姉であるメリー喜多川氏のみです。
もし遺言書が作成されていなければ、不動産も現預金も、姉が全てを相続することになります。
もちろん、それがジャニー氏の希望なら問題ないのですが、株式についても同じなので、ジャニーズ事務所は実体も実質も、姉であるメリー氏が経営権を掌握されることに余地は生まれないでしょう。
遺言書があれば、思い通りになるケース
今回の場合、相続人である姉(兄弟姉妹)には、遺留分がありません。
つまり、遺言書を書いて誰か第三者にのみ遺贈するという内容ならば、姉は1円すら相続することができず、また不服の申立てをする権利もありません。
しかも、株式会社ジャニーズ事務所は非上場企業で、株主は限定的だったはずです。
つまり、もしジャニー氏が別の第三者にジャニーズ事務所の経営権を譲りたいと思ってらっしゃったなら、自身の株式について遺言書を作成することで実現できるはずです。
姉と不仲だったという報道は見ませんし、現在も経営に深く関与されていますから、遺言書が出てきたとしても預貯金などの相続分において姉がゼロということはないでしょう。
しかし遺言書があれば、株式はもちろん、預貯金についても相続人を廃除することが出来るケースとなります。
マスコミの報道では、滝沢秀明氏に株を相続させる遺言書を作ったのではないかとか、滝沢氏と養子縁組したのではないかとか、噂が出ています。
ジャニー喜多川氏は、令和元年6月18日に病気で倒れるまではお元気だったとのことですし、資産の総額は一千億以上とも言われているなかで、SMAPの解散に代表されるなどの経営方針と勢力争いを巡るお家騒動も経験されていました。
ということは、遺言書の必要性も充分に考えておられたはずではないでしょうか。
相続人ではない人物へ会社を事業承継するモデルケースになるかも
滝沢氏はすでに、ジャニーズ事務所が100%出資する子会社「株式会社ジャニーズアイランド」の代表取締役です。
今後も親会社に深く関係・関与するような役割を担うのであれば、遺言書により滝沢氏が株式を遺贈された証明になるのではないでしょうか。
または、ジャニーズ事務所の所属タレントとしての重鎮である近藤真彦氏や東山紀之氏が喫緊に経営の場に出て来られるようになれば、やはり遺言書の存在があったはずです。
一方、滝沢氏がジャニーズの本流から分離し、その所属アイドルが別の第三局として台頭するようになるとか、この相続についてマスコミが何ら触れないような状況が長く続いて話題が収束していくなのなら、遺言書は作られなかったとする推測ができるのではないでしょうか。
事業承継に遺言書は有効
このように、遺言書さえ作成しておけば、相続人はもちろん、それ以外の第三者にも株式を遺贈し、経営権を掌握させることが可能です。
ただし、株式は時価で評価されますので、それに応じた相続税が課されますから、その納税資金をどうするかも問題になります。
そのあたりも含めて、綿密に事業承継のための計画を練り、来たるべき日に備えておくことが経営者には必要で、それが責任なのだと思います。
まとめ
遺された社員には生活がありますから、会社を子や親族に譲りたい気持ちは分かりますが、経営能力のある人物に託すことこそが、会社のため、家族のため、株主のためなのではないでしょうか。