抵当権の抹消|放置して大丈夫なの?「問題ない」と言う金融機関がある!?

抵当権は抹消を放置しても問題ないのか?

聞いた話ですが、とある金融機関の担当者から、「ローンの支払いは終えましたので、持ち家を売却する予定がないのでしたら、抵当権はそのままでも大丈夫ですよ~」と言われたそうです。

んなこたぁない!ですよ。

借りた側(抵当権設定者)は 、金融機関(抵当権者)からの貸入金(債務)がなくなったのなら、速やかに登記申請をして、抵当権は抹消しておくべきですよ。

なにしろ、登記簿は公示力を持つために、誰でも閲覧できるからです。

参 考 記 事

第三者からすれば、閲覧した登記簿に抵当権が付いていれば、まだ借入金が返済できてないんだなと見えてしまいます。

書類を紛失すれば、抵当権の抹消には時間と手間と費用が余計にかかる

相続手続きの際など実際に目にするのですが、昭和や平成の日付にて、都市銀行もしくは地方銀行等の金融機関による抵当権が抹消されずに残っている場合があります。たまに、明治や大正の時代のものまであります。これを抹消するのは、困難を極めます。昔の抵当権が消えずにそのままになっている原因は、「抹消しなくても大丈夫」という間違った感覚が生む問題なのかもしれません。

参 考 記 事

もちろん、相手が金融機関なら効力を失っている債権につき、事情を説明すれば必要書類の再発行など、 抵当権の抹消のための協力はしてくれると思います。しかし、いらぬ手数料や司法書士報酬が余計にかかるでしょうし、本当に債権が残っていないのか調査のための時間もかかります。もし抹消できなければ、その不動産は売却できなくなるかもしれません。

また、登記簿には登記申請日(抹消日)も記載されますので、適正な登記申請を懈怠していた面も記録として残ることになります。

既に無い債権の表示を残しておいて良いことなんて、一つもない

金融機関は、お金を融資したり、ローンを設定する時には司法書士報酬を上乗せして抵当権の設定登記を必ず行うのに、金融機関との取引が終わった途端、「債権は消えてますから、抵当権はそのままでも大丈夫ですよ~」なんて、素人さんに向けて平気で言うのは、あまりに無責任だと思います。

抵当権抹消のための書類一式を渡して後はご自身でどうぞ、というのが実態です。結局は自己責任にされているわけで、お金は回収できて契約は終了したので、後はご自由にというところでしょうか。それでも、「抵当権は放置して大丈夫」は言いすぎでしょう。後々に困るのは抵当権が抹消できていない所有者であって、金融機関には関係のない話だから、こんなことが言えるのでしょうね。確かに抵当権の抹消登記を司法書士の先生に頼めば報酬が発生しますが、それは必要な費用だと思います。登記簿において所有者は、常に正確な情報の掲載に努めなければなりません。いらぬ費用を掛けささないための思いやりかもしれませんが、 金融機関で仕事をする人物はある意味で私権の制限を強いる行為をすることになるのですから、その私権を完全な形で回復できるよう、最後までサポートするのが筋ではないでしょうか。まして放置を促すような発言をすることは、お世話になったお客様の利益を損なう恐れがあるほか、日本の登記制度の適正な運用を歪めることでもあるので、いかがなものかと思います。

もちろん、こんな無責任なことを言うのは、一部の金融機関関係者だけだとは思いますが、お金を借りてもらって、さんざん金利を支払ってもらったお客様に対しては、最後まで誠実にあって欲しいと思います。

まとめ

抵当権の効力がなくなったのなら、抹消登記を行っておきましょう。書類があるので、いつでも大丈夫だと思っていたら、案外思わぬ手間や問題が生じるかもしれませんよ。

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