チュートリアル徳井義実氏が犯した罪とは|納税義務違反?社会保険は?会社法は?社会人として果たすべき義務とは!?

2019年10月28日

所得税が未納付だった背景は?

お笑い芸人の徳井義実氏(チュートリアル)について、法人である個人事務所が数年にわたり税務署に対し無申告を続けていたことが発覚し、自身が芸能活動を自粛する事態となりました。

住民税も未納付のはず

報道されているのは、税務署に税務申告をしない(無申告)ことにより、法人として法人税及び消費税を納税しなかったこと、また個人としても源泉徴収をしなかったことにより、結果として所得税を納税しなかったことが主なものとなっています。しかし、源泉徴収がされていないということは、国に対して所得税を支払っていないことに加え、住民税(都道府県民税及び市区町村税)も未払いになっているはずです。というのも、住民税というのは、例えば会社員なら勤めている会社が納税者本人の給与から源泉徴収することにより間接的に所得税を納税していることなりますし年末調整により、もしくは個人事業者であれば確定申告をすることにより、市区町村役場にて住民税額が決定し、納税することになります。特に近年は、住民税は会社により給与から天引き(特別徴収)されるのが原則となっていますから、これにより通常は納税者は自ら税額の申告や納付をしなくても、会社が全て行ってくれます。よって原則的に納税漏れということも生じないのです。

しかし徳井氏の場合、本来なら納税事務をしてくれる会社は自らが代表として一人しか所属しないものですから、自らが会計や税務など事務作業を行う意思がない限り、日本の税制が機能しません。会社が納税義務を果たすことを放置すれば、徴収するための流れが滞るのです。それを避けるために、会社には法律で税務申告や納税のための手続き義務を課しているのです。今回の場合、徳井氏は日本国民であると同時に東京都の区民です。例えば国道などの道路を通行し、住民税を支払わずに、その都及び区においてゴミの収集など、税負担を負わずに、様々な行政サービスを受けていたことになります。

徳井氏は社会保険にも未加入だった

また、個人事務所の「チューリップ」は株式会社ですから、社会保険への加入の義務があります。今回の場合は、社会保険への加入手続きをしていないということであり、徳井氏本人が社会保険に未加入であるばかりか、その保険料の半分を負担するはずの当該会社も支払ってこなかったことで、2009年から今日までの約10年間は、社会保険料の全額が未払いであることになります。これにつき今から過去10年間の社会保険料を払おうとしても、社会保険料の徴収時効は2年間です。つまり、少なくとも残りの約8年間は未徴収となるのです。社会保険は加入する全ての保険者による負担で成り立っている制度ですから、他の保険者との公平性を考えれば、高額な所得である徳井氏からの保険料徴収が行われないことは、大きな問題で損失であり、かつ、徳井氏は結果として保険料の未払いが成立してしまう事実と責任を、重く受け止めていただきたいものだと思います。逃げ得は許されるべきではないはずです。

徳井氏は、どのような法律違反をしたの?

現在のところ考えられるものとしては、以下の項目につき徳井氏及び彼が代表を務める会社には法律違反があるようです。

  • 法人税法違反(株式会社チューリップについて)
  • 所得税法違反
  • 健康保険法違反
  • 厚生年金法違反
  • 市町村民税違反

今回の場合、国や年金事務所はもっと早く動くべきだったのかなとも思います。この10年間のうち当初の7年間は国税を納付済みと言っても無申告を指摘されてからの事後申告が長く続いていたようです。今回、税務調査により問題が発覚したのですが、芸能人という著名な方でもありますし、納税額は高額なのですから、無申告が状態化する事態であるのなら、もっと早い時期に無申告加算税を課し、それこそ刑事事件として告発などしていれば、国税以外について住民税や社会保険料などが、もっと早い時期から徴収できていたのではないかと思います。また今回は、徳井氏というタレントとしての能力の高い方が芸能生命を断たれるということがあり得る事態となっています。もちろん自己責任ではありますし、彼自身が招いたことで同情の余地もありませんが、この問題がもっと早い時期に発覚していれば、その傷は浅く復帰の道もあったかもしれません。

社会制度への負担はその維持のため、収入に応じて誰もが公平に負うべきもの

大切なのは、国民が平等に負担を負うという、公平性の担保です。一部のお金持ちや頭の良い方(ずる賢い方)、逃げ得をしたいような方が得するような社会では、誰も社会制度のための負担をしたくなくなります。国や年金事務所からの発覚に頼ることなく、所属事務所である吉本興業は先日も契約書問題で揺れていましたが、今回の件についても所属タレントへの指導が適切になされていれば、防げた事態という気がします。コンプライアンスを重視することはもちろん、社会人として果たすべき規範としての指導や講習も、会社として求められるべきでしょう。

法人(会社)を設立するということは、大きな責任も生じます

節税対策で設立したとしても、経理面でも税制面でも、その事務のための経費負担や手続きは煩雑になります。そのことを承知したうえで法人は設立する必要があり、経営者にはその自覚と手腕が求められます、残念ながら徳井氏には、それが決定的に足りなかったのでしょうが、そのために払う代償は極めて大きいということでしょう。

まとめ

徳井氏は知名度が高いだけに、失った財産財産よりも、その地位と名声の損失は、金額では算定できないと思います。

芸能界において、これが氷山の一角でないことを願います。

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