テレビが情報を間違える!?弁護士の見解なのに?責任の所在はどうなるの?
重要なのはメディアリテラシーだけど
2018年の12月に放送されていたテレビの情報番組で、気になることがありました。
相続の問題を特集されていたのですが、決定的に間違っていないものの、誤解を生じる恐れがあるものでした。
番組としては、弁護士の先生がコメンテーターとして入ってらして、監修や事例の提供もされているようなので、相続トラブルという身近に潜む問題に、真摯に真面目に作られていました。
成年後見についての情報に誤りが!
例えば、高齢者と同居している家族が使い込みを防ぐための方法として、「成年後見制度」の利用を推奨する場面がありました。
しかし、「成年後見制度」は、認知症の方の財産を守ることが目的の第一なので、誰でも利用できるものではありません。
遺言書の作成について誤解を招く情報も!
また、相続トラブルを回避する方法として、「遺言書」を作成することが良いとして、それを分かりやすく、簡素な感じでイラストで遺言書が図示されていました。
でも、このイラストは、いかにも活字(自筆には見えない)ものでした。
手軽に作成できる自筆証書遺言は、「自筆」であることが絶対の条件です。
あの放送を見た人は、図示されたイラストを真似て、とりあえずパソコンで書いておこうと思われる方が、いらっしゃるかもしれません。
残念ながら、その弁護士の先生は、どんな紙でもいいんで、日付書いて、名前書いて、ハンコを押せば、一応は成立するとおっしゃっていました。
最後まで、「自筆で」とは、おっしゃらなかったんですよ。
「とりあえず書く」という手軽さが推奨されたが故に、パソコン(活字)でもいいかも?という誤解が生まれないことを願います。
ペットの相続についても情報に疑問符が!
また、ペットに相続させる遺言書の有効・無効を問われたクイズでは、「有効」と回答が出ました。
でも実際は、ペットに財産を相続させることはできないんです。
だって、日本の法律では、ペット(動物)は、「物」として扱われるからです。
この番組では、その後のテロップで、「代理として」と書いてありましてから、よくよく全体を見れば間違ってはいないんです。
ただし、見る人によっては、ペットに財産を遺せると誤認して、遺言書にそのまま書いちゃうことがあるかもしれません。
正しくは、誰か特定の人物を指定して、「ペットの〇〇の世話をする条件として、〇〇円を遺贈する」など、負担付遺贈とする内容にしておく必要があります。
まとめ
番組の最初から最後まで、弁護士の先生は間違ったことはおっしゃいませんでした。
しかし、制作の段階で、説明不足があったり勘違いされる恐れが数%でもあれば、それを編集などで正しい方向に導いた上でO.A.しなければ、誤解を生む恐れがあります。
おそらく、この弁護士の先生は、O.A.前の段階で、放送内容をチェックをされなかった、もしくは、ペット問題の場面でもあったように、事後のテロップの対応等でクリアできたと判断されたのだろうと思います。
残念ながら、懸念が残る内容になっていたように思います。
しかし、この番組を見て、視聴者が勘違いしたままで、手続きを進めて問題が生じたとしても、どこにも文句は言えないでしょう。
これも自己責任なんですよね。
現在は、ありとあらゆる情報が溢れる時代ですから、どれを信じるのか、メディアリテラシーの能力を問われる時代です。
インターネットで知った情報も、同じですね。