明石市が養育費を立て替えてくれる!?養育支援金も!?不払いを防ぎ、ひとり親家庭をサポートする取り組みが検討中!
養育費が支払われないという実際
最近、離婚が多いですよね。
3組に1組は離婚している!?とか言われていますから。
しかし、厚生労働省が平成28年度に行った「全国ひとり親世帯等調査」では、ひとり親世帯の56%が、養育費を一度も受けたことがないと言います。
これって、衝撃的ですよね。
子どもが貧困する原因の一つと言えますね。
さらに、離婚後の母子家庭で養育費を定期的に受け取っている割合は、わずか20%程度だという調査結果もあります。
逃げ得は許さない!離婚後の養育費は、保証会社が立て替えるという取り組みがスタート
養育費が支払われていない世帯が多いという、この実態を改善するため、注目すべき取り組みを試験的に始める自治体があります。
それが、兵庫県明石市です。
2018年の段階では、養育費が滞った場合には明石市が委託した保証会社が、月5万円を上限に不払いの養育費を一人親世帯に払い、保証会社がその同額を相手方から「債権」として回収するというものでした。
2019年の10月の段階では、養育費の支払いに応じない相手に対して、行政罰である過料を科し、さらに、その相手の氏名も公表する条例案を検討しているそうです。
条件としては、公正証書にした離婚給付契約書(離婚合意書)もしくは調停調書にて養育費の合意の取り決めがされていることを前提とするようです。
2021年4月の実施を目標に検討会で議論されるそうなので、本格的に運用されるときには、いろいろと条件が加わるでしょうね。
私としましては、ぜひ2018年に検討された保証会社による養育費の債務回収を行ってほしいと思います。逃げ得は許せないですから。
そのときには、次のような条件が必要かなと思います(あくまで私の私見ですが)
- 離婚前から一定期間を当該自治体に住民登録して生活した世帯であること
- 離婚後も当該自治体で生活すること
- 保証会社には、成功報酬的な業務委託契約とすること
- 第三者機関が機能すること
1と2については、当然ながら必要となってきます。
理由は、明石市がこの取り組みを行う目的が、「子育て世帯の定住」にあるからです。
明石市で子育てをすれば、もし離婚という結果となっても、行政によるこのサービスが受けられるという安心感があれば、住民となることを選ぶ動機になりますよね。
すでに明石市では、中学生以下の子どもの医療費は無料であったり、第2子以降の保育料は無料とするなど、子育てを支援する様々な取り組みを実施されいるようです。
その効果もあって、実際に人口が増加して、税収(固定資産税が住民税など)が増えているそうです。
今回の養育費に関する取り組みも、住民を増やし、税収を増やして市民サービスの向上に繋げたいという考えがあることは、言うまでもありませんね。
でもこれって、市民にとっては、子育て世代に限らず有難い話ですよね。
市民サービスの向上、暮らしやすい街づくりのためにはお金(税収の確保)が欠かせませんから。
3の「保証会社には、成功報酬的な業務委託契約とすること」とした理由は、この制度を形骸化しないためです。
保証会社はあくまで、養育費の支払い義務者に代わって、養育費の立替えをするだけの存在です。
つまり、仮に債権(支払われるべき養育費)が回収できなければ、市民による税金が使われる訳で、これを食い止めるための仕組みが必要となります。
債権回収が成功しても失敗しても、その保証会社には同じ報酬が支払われたのなら、どうですか?
やる気に影響なくないですか?
市民の血税を大切にするためにも、保証会社には債権が回収できるよう、努力をしてもらわなければなりません。
そのためには、もし債権が回収できずに税金が充てられたときには、業務委託料を割り引くなどの取り決めが効果的かなと思います。
さらに、この委託を随意契約ではなく、過去の債権回収率などの実績から競争により、委託先を定期的に選定するような仕組みも必要かもしれません。
なにしろ、保証会社は民間企業なので、良くも悪くも営利目的で活動するものです。
それならば、競争原理にて実績があれば業績が向上する仕組みを行政側が提供できれば、税金の投入を最小限に留めることができるのではないでしょうか。
もちろん、無理な取り立ては、その債務者の生活を脅かすことになるので、十分に留意すべきことではありますね。
4の「第三者機関が機能すること」とした理由は、通常の監査では、実体までは見えないことが多すぎると思うからです。
単に税金を使って実施するだけの事業なら仕方ないのですが、養育費に関するこの制度は「本来支払うべき立場の者に代わって養育費を立て替える」という趣旨であるために、理想は”1円も税金を使わないこと”にあります。
自治体の監査は、税金の使途が適切であるのかを調査・監督するものなので、制度の適切な運営の如何については、別の専門機関が第三者の立場で調査するのが望ましいと考えられます。
ここに税金が投入されては本末転倒という考えもあるかもしれませんが、制度が形骸化されて、歯止めなく当たり前のように市の税収から養育費が捻出される事態となれば、支払い義務者は誰も養育費を支払わなくなります。
ここに、この制度の重要さがあると思います。
仮に明石市のこの取り組みが一定の効果を上げて、他の自治体も追随する流れになったならば、必ず上記のような問題が懸念されます。
つまり、明石市の成功事例通りに他の自治体で実施できるか否か、こんな重要な結果が、自治体の首長の本気度、熱意によって左右されるような事態は、避けなければなりません。
私もそうですが、明石市の取り組みが報道されたときに、これが全国的に当たり前になれば素晴らしいと思いました。
ということはつまり、とても耳触りの良い行政サービスに映るんです。
これを目玉に子育て世代を誘致する自治体も増えるでしょう。
でも、もしその実態が、内部では保証会社による回収率が低く、多くの税金が投入されている実態が常態化していたとしても、表面上は市民は分かりません。
つまり、せっかくの取り組みが形骸化していたのでは意味が無く、言葉は適切でないかもしれませんが、「客寄せパンダ」となることだけは、絶対に避けてほしいと思います。
自治体によりサービスは大きく違います
自治体が行う先進的な取り組みは結局のところ、その本気度(気概があるか否か)が成功のポイントです。
明石市の泉市長は、大学時代は教育について学ばれてきたそうです。
そして弁護士出身であるために、子育て問題に直面されてきたことから、その経験を活かして、市長として行政サービスに活かしたいと考えておられるのでしょう。
だからこそ、この取り組みが実現したのだと思います。
自治体により、様々なサービスがありますが、実施しているか否かよりも、その実態が重要です。
ただ、その内容って、なかなか見えるのが難いんですよね。
そういう自治体の実態・実情こそ、市議会議員さんや有識者の方は、例えばSNSなどで発信していくべきだと思います。
その情報の中から、住民が精査をして、首長や議員を選んでいく、自分や家族が住むべき場所を探していくというのも、この時代の選択としてはアリかなと思います。
まとめ
明石市では、養育費の不払いがあれば保証会社が立て替えて、債務者から取り立てる。しかも氏名も公表することも検討を始めています。
明石市長への賛否両論はありますが、市民からの高い支持率は、一つの結果だと思います。
住む場所による地域格差、行政サービスの違いって、思っている以上に大きいですよ。