公証役場ではどうやって遺言書が作られるの?どんなところ?証人とは?
公証役場って、何をするところ?
その公証役場で行われるものの一つとして、公正証書遺言があります。
私たち行政書士の役割は、遺言をする人と向き合い、目的を達成されるために遺言者の希望に沿う内容で、法律に従い、遺言書の原案を作るなど、そのお手伝いをすることにあります。
その原案をもとに、公証人の先生と打ち合わせをするなどして、ご本人さんは遺言書の作成を行うことになります。
なにしろ行政書士は、「町の身近な法律家」ですから。
遺言書は本人(遺言者)の意思のみで作成するもの
公証役場で以前に見た光景ですが、子どもに怒られ、せかされてらっしゃる親子です。
子どもの意のままに書くことは、遺言の本来の目的ではないと思います。
遺言は、自分(遺言する人)の意思を死後に実行させるためにあるべきです。
遺言書の「証人」とは?
公正証書遺言については、実行の確実性が高い遺言の形式ですから、要件も厳密で、遺言書の作成の当日にあたっては、本人さんの事理弁識能力の有無のほか、口述による聞き取りと記述、資料の閲覧による確認等を公証人が綿密にされながら、証人2名がその場に立ち会うことが必要となります。
この証人には、誰でもなれるわけではありません。
- 未成年者
- 推定相続人(将来相続人となる人)、受遺者(遺贈を受ける人)、これらの配偶者と直系の血族
- 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記や使用人
以上の方は、証人となることはできません。
未成年者のほか、将来の相続において利害関係が生じる相続人などは、証人となることができない、しかも4親等内の親族はダメということになりますから、つまり、おおざっぱに言えば、「遺言者の近しい身内は証人になれない」ことになります。
そりゃそうですよね。
遺言する人を、上手く言いくるめて、財産を受け取る人が遺言書を書かす場合もあるようですから、そんな時に、そんな人が証人になっていたのでは、制度が形骸化してしまいます。
何の利害関係もない、然るべき第三者が証人となることで、制度の公正性が保てれています。
また、上記の要件には当てはまらない人であっても、資質的に相応しくない人も、証人とすることは避けるべきです。
例えば、口の軽い人。
近所の気のいいおじさんに頼むこともできますが、ペラペラしゃべられては、遺言することの意味がなくなったり、かえってトラブルを招くこともあります。
その点、私たち専門職には守秘義務がありますから、安心です。
実際、業務として公正証書遺言の作成に携わったときは、私が証人となりますし、行政書士仲間から依頼されて証人となることもあります。
公正証書遺言は、死後において、自分の意思を実行させる最も有効な手段です。
その場に立ち合い、そのお手伝いができることを、嬉しく誇りに思っています。
まとめ
公証役場に行くたびに、国民の権利義務に関わることを取り扱われている場なんだと、気持ちが引き締まります。
私たちは、そのような重要な役割を担う仕事に携わっているのですから。