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相続放棄を皆がすれば負担から逃れることができるの!?法定相続人の責任は?所有者はどうなるの?

2016年9月9日

相続放棄のこと

遺産と言えば、「どうやって多くの財産を引き継ぐのか」、ということに意識が向きがちですが、財産はプラスばかりではありませんよね。

例えば、「借金」。マイナス財産の最たるものですね。

もちろん、これも相続対象となる「遺産」です。

預貯金などから借金を差し引いてマイナスになる遺産であれば、皆さん考えるのが、「財産を放棄しよっかな。」じゃないですか?

これはまあ、よくあることだと思います。

しかし、財産はプラスなのに、相続放棄をしようとすることがあります。

「なんで?」と思いたくなりますが、それは例えば、資産価値が高くない不動産を、相続したくないという場合などです。

不動産であれば、金額の大小はありますが、原則として固定資産税が所有者には課されます。

これは、例えば空き家などで、その不動産を利用していないのなら、負担ですよね。

しかも、土地の上に建物があれば、老朽化による修繕も必要で維持管理費がかかりますし、火災などが起これば責任も問われる事態が想定されます。

だったらいっそ手放したいと思うのですが、田舎であれば市街化調整区域なら法律上も売却が制限されますし、そもそも田舎は買い手がつきにくく、売ろうにも売れない状況があります。

それならば、相続を機に手放そうと考えて、「相続放棄」をするのです。

相続放棄をすれば、相続人としての地位がそもそも無かったものとみなされますから、プラスもマイナスも一切合切で相続されません。

つまり、言葉が悪いかもしれませんが、資産価値がない建物と、「縁が切れた」ことになるはずですよね。

この「相続放棄」の仕組みを利用するため、相続人の間で相談をして、その全員が相続放棄をしたならば、遺産を相続することから免れることができます。

この場合は土地も含めて、最終的には国庫に帰属することになります。

「やれやれ、これでもう安心!負担だった不動産も手放せて一石二鳥!」と思っていると、その認識はちょっと甘いかもしれません。

なぜなら、民法940条に、
『相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。』とあります。

これは、どのような意味かと言いますと、私なりの口語訳をすれば、

「相続放棄するのはいいけど、次の相続人が決まるまでは、ちゃんと面倒みなさいよ。」という感じです。

つまり言い換えれば、「管理責任を免れるのは、次の相続人が見つかってからですよ。」ということで、しかも、ここで重要なのが、条文上は「管理責任を負うのは、最後に相続放棄をした人」という解釈が成り立つことなのです。

ここで言う、「最後に相続放棄をした人」って、誰ですか?

例えば、父と息子の2人家族だったとします。母は数年前に他界しています。

この父親は地方の田舎で農業を営んでいて、家屋と納屋は、資産価値がほとんどないほどに老朽化して、取り壊す解体費に500万円ほどかかるとします。預貯金はほとんどありません。

この場合、相続人は息子になるのですが、息子はあっさり相続放棄の手続きをしたとします。これにより、所有者ではなくなっても、管理者としての責任までは放棄できません。

不動産の所有を主張できないにも関わらず、管理者責任は問われる事態になれば、何のために相続放棄したのか分かりませんね。

相続放棄は法的にしなければ意味がない

相続人の間で口頭や遺産分割協議書で「放棄」をしたとしても、法的には何の意味も持ちません。実質的な意味での相続放棄は、家庭裁判所に申し立てる必要があります。しかも原則は、相続が発生したときから、3か月以内です。

まとめ

相続人の全てが相続放棄をしても、すんなり国庫に返納(帰属)するわけではありません。

相続財産の利害関係者が家庭裁判所に申し立てをして選任される「相続財産管理人」により、財産を整理した結果、残った財産がようやく国庫に帰属することになります。

また、相続財産管理人が選任されて無事に相続手続きが完了することで、相続放棄をした人は財産の管理義務から免れることになります。

なお、相続財産管理人の選任を申し立てると、家庭裁判所はケースに応じて、申立人に「予納金」を求めることがあります。

その額は高ければ100万円ぐらいになることもありますので、留意してください。

財産を放棄すれば、あとは国が面倒を見てくれるような、都合の良い便利なことはなく、国もそのあたりは、ちゃんと制度として考えているんですね。

よくできてますよね。民法って。

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Posted by synce-office