農地や森林の相続は、調査の漏れにご注意を。確実に手続きをする方法とは?
農地や森林の相続手続きについて
今日は、相続の手続きで見落としてしまいそうな事柄を、ご紹介します。
不動産の相続といえば、その手続きとして「登記」をすることは、皆さんご存じだと思います。
そのうち、農地と森林の相続については、その所在地を管轄する市区町村への手続き(届出)が必要です。
農地と森林には、変更した所有者を届け出る義務がある!
農地の場合は平成21年12月、森林の場合は平成24年4月から届出が義務化されました。
国土交通省のデータによれば、相続人のうち必要な手続きを全て完了している人の割合は農地で10.5%、森林ではわずか6.1%に留まっているそうです。
つまり、農地や森林を相続した人のうち9割程度は、何らかの手続きが不足しているということで、その中には、市区町村への届出の漏れが含まれると考えられます。
届出が義務となった理由としては、農地及び森林所有者の不在化及び不明化を防ぐことにありますが、耕作放棄地(遊休農地)を把握することのほか、有効な鳥獣害対策による周辺住民のための環境改善や、災害発生時の迅速な復旧等もあります。
また、農地や森林を取得した人が、遠隔地に居住するなどで農地等が利用できない場合に、貸借のあっせんを行う等、土地所有者の適切な管理や利用を促進するという目的もあります。
なお、届出をする期限は、農地の場合は相続発生から10か月以内、森林の場合は土地の所有者となってから90日以内と決まっています。これは、相続手続きをしなかったことを理由にはなりません。法定相続人は、被相続人が死亡した時から、すでに共同相続人であり、持分所有者なのです。
届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は10万円以下の過料に処せられることがあるのでご注意ください。
農地や森林の相続手続きの方法
まずは、市区町村役場にて、固定資産課税台帳を漏れなく調べましょう。そこの台帳上の課税科目が「田」「畑」なら農業委員会、「山林」なら森林担当の課に、相続による所有権が移転したことにつき、それぞれ届出をします。
その専門家は、行政書士ですので。分からないことは行政書士にご相談ください。
まとめ
実家の農地や山林の相続は、特に離れて暮らしていると目が届かないことが多いです。それでも、相続対象であることに他なりません。
不動産の登記(法務局への手続き)は司法書士、農地・森林に関する届出(市区町村への手続き)は行政書士が、その専門です。
漏れなく、手続きは完了しておきたいですね。