認知症は他人事ではない!相続にも大きく影響します
認知症の割合は、65歳以上の高齢者の約7人に一人に!
本当に、認知症って近い存在になってきているんだと最近、実感することが多いです。
相談でお話を聞いてみると、相続においても、「認知症」が問題となって、手続きが前に進まないことが、増えてきています。
財産を持っている人(例えば不動産の名義人である父とか)が認知症でなければ、別に問題はないはずと思っていませんか?
でも、相続において問題となるのは、相続人(財産を受け取る人)のなかに、一人でも認知症の方がいらっしゃれば、相続手続きが進まないことにあります。
認知症であれば、法律行為(例えば契約など)ができないからです。
無効になります。
ということは、例えばご高齢のお父様が亡くなられた場合で、相続人の子ども(兄弟)のうち、どちらかが認知症であれば、もう遺産分割協議が出来ません。
遺産分割協議も法律行為だからです。
「そんな固いこと言わずに、黙って家族が署名・押印したら済むことやん」と思われますか?
それは、とても危険なことですよ。やめておきましょう。
もしその内容で不動産などの権利変動が生じた場合、後々に認知症を理由に無効を主張されるリスクがあります。
例えば相続後に不動産を売却したところ、後々に利害関係者から認知症を理由に無効を主張されることが、有り得なくはありません。
法的には、その遺産分割協議書は私文書偽造になりますなら、代筆して押印した人の責任が問われる問題です。
不動産は大きな金銭が動きますから、その賠償は甚大になる可能性がありますよ。
だったら、どうしたらいいの?という疑問については、「お元気なうちに遺言書を作っておく」ことになります。
しかも、有効な遺言書を、です。
公正証書にして遺言書を残しておけば、その相続人のうちに認知症の方がいらっしゃっても、特別な手続きもなく、その方の署名・押印なしに、相続できるからです。
もちろん、認知症の方に遺産を相続させる内容の遺言書だった場合は、不動産登記などではご本人の意思確認が必要になります。
しかし、認知症の方以外の相続人に相続させたいのであれば、その意思は遺言により実現することができます。
これって、重要だと思います。
財産を持っている人がいて、その子どもたちが、もし遠方に住んでいるなどして連絡が滞っている場合などは、健康状態まで知り得ませんよね。
相続が発生してから認知症だと分かった場合、相続人さんの間では、必ず問題となります。
「ああ、親父に遺言書を書いてもらっておけば、こんなに苦労しなくて済んだのになあ」ということも、実際あります。
まとめ
認知症は年齢を問わず、いつ誰に症状が出てくるか分かりません。
最近は、遺言書での対応のほか、民事信託の活用も話題になっています。
トラブルは他人事と考えることなく、ぜひ早めの対策をお勧めします。