戸籍の附票とは|その役割は?戸籍と住民票と何が違うの?どこで取得できるの?
戸籍の附票をご存じですか?
戸籍については、よくご存じだと思いますが、その”附票”って、あまり聞き馴染みのない言葉ですよね。
「これって、一体なんなの?知らないよ」という方も多いと思います。
”戸籍の附票”とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管されている書類のことです。
この書類には、戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。
つまり、戸籍は日本人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生・結婚・ 死亡・親族関係等)について登録して、公的に証明するものですから、附票は本人の居住地(住所)について、それを補足し証明する目的で、戸籍とともに保管されている書類と言えます。
戸籍の附票には、どんな役割があるの?
その主な目的は、住所地において、戸籍と他の証明書(住民票など)との繋がりを証明することにあると言えます。
この繋がりを証明する必要について考えるにあたり、まず、住民票と戸籍の、それぞれの役割について、簡単にご説明しますね。
まず住民票について、日本人であれば、国内で生れて出生届を提出すると、親の戸籍、親の世帯に入ることになります。
これにより、”住民基本台帳”に記録され、親と同一の世帯として住民票が取得できるようになります。
その後、もし引っ越しなどで住所を移転すれば、新しい住所地で住み始めてから14日以内に、その住所地を管轄する市区町村において転入の届書を提出し、その地で住民登録をしなければなりません。
これを怠ると、最大で5万円の過料を科されることがありますので、気を付けてくださいね。
戸籍の附票は、どこで発行(交付)されるの?
戸籍の附票は、本籍地のある市区町村役場で交付の請求をすることができます。戸籍と同じですね。
住民票は、現在登録されている住所地(その地を管轄する市区町村役場)にて発行されます。
一方、戸籍については、日本人であれば、国内で生まれたなら、親の戸籍に入る(入籍する)ものです。
戸籍が存在するということは、そこには本籍地が定めてありますから、親の本籍地=生まれた時の自分の本籍地ということになります。
引っ越しや結婚をすれば、戸籍と戸籍の附票はどうなるの?
引っ越しをして住所が変わったとしても、本籍地はそれに伴って変わるものではありません。
本籍地が変わる場合は、戸籍に変動が生じる場合です。
例えば、結婚により戸籍が新たに編製されるのなら、ご本人さん(新郎新婦)の意向により、そのスウィートホームの住所地とされることも多いと思います。
もしくは、親の本籍地と同じ住所地にされることもあると思います。
なにしろ、本籍地は国内であれば、どこに定めてもいいのです。
本籍地を皇居に置くこともできますし、野球が好きなら甲子園球場にだって本籍地を定めることができます。自由です。
ただし、戸籍は本籍地のある市区町村で保管されることになりますから、ご注意くださいね。
戸籍の附票が実際に必要となるのは、どんな場合なの?
では具体的に考えていきましょう。
それはやはり、公的な手続きをする時です。
例えば、車を購入したり売却したりする時の、名義変更です。
車の名義変更には、必ず本人の意思を証明するために、印鑑証明書が必要になりますが、基本的に印鑑証明書は住民票の住所地と一致しています。
その印鑑証明書に記載されている住所地に対して、引っ越しなどされていると、車検証に記載されている所有者の住所地が一致しない場合があります。
その場合には、戸籍の附票を取得して、住所の遍歴を明らかにすることで、車検証の所有者が印鑑証明書の人物、つまり本人であることを証明します。
また、相続の手続きにおいても、戸籍の附票が必要になる場合があります。
相続には、不動産が含まれることが多いのですが、その所有権を移す(移転する)登記手続きにおいて、戸籍が必要となります。
不動産の相続手続きの場合には、亡くなられた方の最後の住所地、つまり住民票(除票)に記載された住所地と、登記簿上の住所地が一致しない場合には、その人物(所有者)が同一であるか分からないので、附票(場合によっては改製原附票も必要)などで確認します。
一方、相続する側についても、印鑑証明書に記載されている人物と戸籍に記載されている相続人が一致していることを、戸籍(原戸籍)と住民票などだけで証明できなければ、附票に記載されている住所遍歴等を確認(添付)することによって証明をする場合もあります。
なお、登記に限らず、その他の手続きにおいても、戸籍の附票を用いなくても、その他の証明で足りる場合もあります。これは、自動車の相続などにおいても同様です。
戸籍の附票の保管期間は?
戸籍の附票は、住民票と戸籍を繋げる存在です。過去の住所を辿れますから、相続の手続きなどには不可欠な書類です。市町村役場で取得できますが、その保管期間が過ぎれば発行できなくなりますから、ご注意くださいね。
戸籍の附票の注意点は?
DV被害の場合、閲覧制限をしないと居場所が判明する恐れがある
戸籍は離婚しない限り、抜けることができません。つまり、法律上の婚姻関係にある状態であれば、同一の戸籍に入っている者から、戸籍及び戸籍の附票を閲覧できてしまうのです。
例えば避難している先で、子どもがいる場合で都合のため必要上、その避難先の住所に住民票を移したとします。すると、暴力をふるう配偶者とは同じ戸籍にいるために、戸籍の附票を閲覧請求されれば、そこには避難場所の住所が記載されており、今の住まいが知られてしまうことになります。
DVなどで避難する場合で、その住所地において行政による住民サービスを受けるために住民票を移す場合もあると思いますが、その際は必ず、支援機関とご相談をされた上で、”住民基本台帳の閲覧制限等の支援措置”を受けてください。
まとめ
戸籍の附票は、住民票と戸籍を繋ぐ、大切な役割を果たしています。場合によっては、問題解決の糸口にもなる一方で、社会福祉もしくは生命保護の観点から、法的関係にある人が情報を閲覧することに制限をかける必要が生じる場合もあります。これは、身分関係において正当な権利が行使できない状況に置かれることでもあります。戸籍の附票は極めて高度な個人情報ですので、その取扱いには充分にご注意ください。