「入籍」と「結婚」の違い|結婚したら戸籍はどうなるの?「私たち入籍しました」の表現は誤り!?
初婚同士の場合は、二人のための新戸籍が編製される
二人が初婚の場合は、それぞれが親の戸籍に入っているので、婚姻のため親の戸籍から離脱して、婚姻するどちらかを筆頭者とする戸籍が新しく編成されます。
その理由は、日本の戸籍制度では、一つの戸籍に親子三世代は存在させることができないからです。
よって実際は、新戸籍が編製されて、そこに入籍をすることになります。でも一般的に「私たち、入籍しました」の使われているイメージとしては、夫の戸籍に入るものとして使っていませんか?日本ではまだ夫婦別姓が法整備されていないので、まだまだ多くの夫婦が婚姻の時点で、夫の姓を選択してきた経緯があります。この前提で行けば、「入籍しました!」は、夫の姓になった、夫の戸籍に入ったという体裁で使われているように思います。まして、「私たち」という複数形を使うのなら、「どこに?」「どうやって」という言葉も入れるべきです。
よって、厳密に言うのなら「私たち、新しい戸籍を作って、そこに二人で入籍しました!」と表現するのが日本語としてベストでしょう。でも、面倒臭い言い回しですね。
だからせめて誤解を生まないように表現するなら、結婚の報告の際に「私たち、同じ籍に入りました」が正解で無難なのかもしれません??
再婚の場合の戸籍はどうなるの?
戸籍の筆頭者が夫婦のどちらかで違ってきます。
再婚する配偶者=筆頭者の場合は、すでに存在する筆頭者の戸籍に、相手の配偶者が入籍することになります。
初婚の配偶者=筆頭者の場合は、新戸籍が編製されます。
「結婚」=「入籍」ではない
これも厳密に言えば、同じ意味ではありません。結婚という言葉はあくまで日常用語であって、法律用語では「婚姻」という表現を用います。
そして一般的に、結婚は結婚式という儀式に代表される夫婦での婚姻の状態を表す言葉です。よって、結婚の開始日は夫婦二人の定義で、結婚式の日なのか、婚姻の日なのか、同居を始めた日なのかの違いが出てきます。
一方、婚姻は役所に「婚姻届」を提出する行為によって、二人が夫婦として同じ戸籍となる状態を差します。よって、婚姻の開始日は、婚姻届の提出日となります。
「私たち入籍しました!」は意味を間違っている!?
他人への報告として「入籍しました」と表現する場合、多くはおそらく初婚の場合が多いと思います。再婚の場合は、「再婚です」と言いませんか(偏見かな?)。再婚では、やや控えめにしたいためか、「入籍しました!」という表現は、あまり使わなのではないでしょうか。
もちろん、日常会話で使用するのは問題ありません。慣用として普段から使いますし、「ああ、二人は結婚したんだな」と分かりますから。
でも、法令の面からみれば、結婚の報告で「入籍しました」は、厳密に言えば正確さを欠くかもしれませんよ。
「結婚記念日」は結婚式の日、それとも婚姻届の提出日?
これも同様で、夫婦での定義や考え方で違います。
「婚姻記念日」とするのなら、婚姻届の提出日で決まりですね。
まとめ
「結婚」という言葉は法律用語ではなく、二人が夫婦であることの社会的状態を差すものです。
「婚姻」は法律上の夫婦になることの法律用語で、法的に配偶関係が締結されることです。
一般的には結婚という言葉を用いることが多いですが、厳密には言葉の意味が違うので、用いるシーンにより使い分けたいですね。