給付金10万円|住所不定、引越しで住民票を移していない場合の受取りはどうなるの?
新型コロナ|特別定額給付金(仮称)の制度概要
政府は、新型コロナウィルスによる生活救済・支援のために閣議決定し、国民一人当たり一律10万円の現金が給付されることになりました。給付するための方法については、”リーマンショック後の2009年(平成21年)に実施された 「定額給付金」の制度を土台として、”住民基本台帳”つまり住民票の記載事項を基に、申請書類を送るという方法が採られます。
なお、 リーマンショック後の2009年(平成21年)に実施された際には一人当たり12000円が給付されたのですが、その「定額給付金」の給付の対象は、基準日現在において住民基本台帳に記録されている日本人及び外国人登録をしている人でした。 その後の2012年に、国内に居住する外国人で3か月以上の在留期間が決定された人など一定の条件を満たす外国人は、住民基本台帳に登録する制度となりました。
給付金を受け取れる対象者は?
今回の新型コロナによる給付金は、住民基本台帳に記録されている人であれば、日本人・外国人を問わず対象となります。
外国在住の日本人は受け取れるの?
令和2年4月20日の記者会見で、菅義偉官房長官からは、国内感染症貸借を理由に、日本人であっても外国在住の場合は対象に含めない旨の発言がありました。2009年のリーマンショック時の「定額給付金」制度の時も、やはり対象外でした。
「無戸籍」の人には給付されるの?
住民基本台帳に記録のない人、例えば出生届が提出されていない”無戸籍”の人に対しても、過去に戸籍の事で相談をした事実が記録として法務局に残っているなど、一定の条件を満たせば、給付されます。
給付金の申請の方法
今回も、リーマンショック時の申請方法と基本的には同じです。今回は”令和2年4月27日”を基準日として、住民基本台帳に記録されたデータに基づいて住居に届いた申請書に必要事項を記載し、世帯主が本人確認書類(運転免許証のコピーなど)と、振込先の口座番号などの確認書類(通帳やキャッシュカードのコピーなど)を添付して、住所地を管轄する市町村役場に提出することになります。
提出する方法としては、申請書を郵送する、もしくはマイナンバーカードを持っている人は、オンラインでも申請できます。
市区町村の窓口での提出は、混雑を回避するために原則的に行われません。
給付金はいつから、どうやって受け取るの?
比較的規模の小さい市町村であれば、4末末から申請書の送付を開始し、5月初旬から給付をはじめます。国が方針を決定したことで、自治体が立て替えることでスピードアップを図るようです。一方、人口の多い都市部では、確認事項などに時間がかかるため、5月中の送付開始及び給付が現実的なようです.
なにぶんリーマンショック当時の「定額給付金」の一番の問題は、市町村による事務手続きに時間がかかり、給付までに4か月もかかった地域があったことです。今回は迅速さにこだわっていただきたいものです。
受け取りの方法は、基本は金融機関の口座への振込となります。世帯主の口座に、家族(世帯)全員分が一括して振り込まれます。
ドメスティックバイオレンス(DV)で避難中の人が給付金を受け取る方法は?
配偶者からの暴力により、避難して生活をされている方は、今住んでいる市区町村(住民登録をしている市区町村ではありません)に申出書を提出することで、住民票の世帯主ではなく、避難しているご本人(子どもなど同伴者の給付分を含む)が給付金を直接受け取れるための手続きができます。もちろん、配偶者に現住所が分かることがないよう、配慮されます。
この手続きをしなければ、給付金の申請書は、避難されている方の分も含めて、原則通り世帯主に届き、世帯主が全員分を受け取ることになってしまいます。
この申出書(特別定額給付金にかかる配偶者からの暴力を理由に避難している旨の申出書)に添付する書類は、以下のとおりです。申出書は最寄りの市区町村役場の窓口や、婦人相談所で配布されるほか、総務省のホームページからもダウンロードできます。
- 婦人相談所、配偶者暴力相談支援センターなどが発行する”被害者保護証明書”
- 市町村が発行する”DV被害申出確認書”
- 裁判所が発行する”保護命令決定書”の謄本または正本
給付金の受け取りには、この申し出とは別途、給付金の申請も必要になります。申請は、DV被害者をサポートをする民間団体が代理で行うことも可能です。
この申し出の期限としては政府からは示されていませんが、目安としては避難している現在の居所を管轄する市区町村役場が、給付金の申請受付を開始したときから3か月と考えるべきでしょう。ただ、市区町村によって受付開始の時期が異なりますから、なるべく早く、まずは市区町村役場もしくは支援団体に相談されることをお勧めします。
なお、被害者が受け取るべき給付金を世帯主が受け取った場合でも、被害者がこの申し出をすることで個別給付が行われるということです。市区町村は加害者から被害者分の給付金を返還してもらうよう求めるという流れになります。
一方、令和2年4月27日までに住民票を分離している人は、世帯主となっているご本人に宛てて、特別定額給付金の申請書類が、住民票(避難先)の住所地に届きます。なお、DVの加害者からの被害を逃れるために、住民基本台帳の閲覧制限等の支援措置の適用を受けていることを確認してください。この特別給付金による申請書が届いたことをきっかけに、加害者とDV被害者が世帯を分離していることにDVの加害者が気が付く可能性があり、その加害者が”戸籍の附票”を請求すれば、DV被害者の避難先の住所が分かってしまう恐れがあります。
戸籍の附票には、その戸籍に属する人の住所の遍歴から現住所まで記載されます。離婚しない限り、戸籍から抜けることはできません。よって、特別措置による住民基本台帳の閲覧制限が必要になるのです。
金融機関に口座を持っていない人は、どうやって受け取るの?
口座のない人には、例外的に市区町村の窓口にて、感染症予防対策を万全に行った上で、現金給付をする方法が検討されるようです。
申請の期限は?
市区町村において、申請書を郵送で受付開始をする日から3か月以内となるようです。
住民登録が適正でないと、受給できない可能性は?
”住所不定”や”職権削除による登録抹消”について
今回の給付金の趣旨から、国内で生活する国民には給付が行き渡るよう、国は最大限の配慮をするようです。
しかし、給付するための情報のベースが”住民基本台帳”であるために、そこに記録がないのであれば、少なくともスムーズには受け取るのが難しくなる可能性はあります。住民登録が適切でなければ、特定個人の本人確認に手間と時間がかかるはずです。さらに住所不定の人、職権削除(職権消除)などにより住民登録の抹消が行われている人は、二重払いの防止のため、住民基本台帳に記載されていた当時との関係は無視できず、場合により住民登録の回復(復活)が検討されるなら、さらに時間がかかるかもしれません。
引っ越したが住民票を移していないと、どうなるの?
引越しをしたままで、住民票を移動(異動)させていないなら、申請書が手元に届かない可能性があります。
まずは郵便局での”転居・転送サービス”の手続きが適切に出来ていることを確認されるのが良いと思います。郵便局での転送サービスは、転送される期間が届出日から1年間です。もしこの期限が切れていたら、申請書が届かない可能性があります。
なお、国内に住む住民は、日本人と外国人の別なく、常に適正な登録をしなければならないと法律で定められており、居所を移してから14日以内に変更しなければ、罰則も設けられています。
国としても、適切に住民登録をしていない責任は本人に帰属するのですから、住所が不明もしくは不在者に対しては、緊急時であれ給付金を支払いたくても支払えない状況にあることには、道理があるようにも見えます。
ただし、今回の新型コロナウィルスが国民の生活に及ぼす影響は甚大であるために、住民基本台帳に登録している住所ではない居所に居住の実態がある人についても、国は給付金の対象としています。
”臨時特別給付金”の制度とは違うの?
これはまた違う制度で、金額も、給付の方法も違う手続きとなります。
まとめ
日本国内に在住し、住民基本台帳に記載されていれば、給付金の給付の対象になります。
しかし、住民登録が適正に行われていない、つまり住民票が滞りなく発行できない状態であるなら、申請のための書類がスムーズに届かないために、給付金の受け取りに時間がかかる、手間取ることが想定されます。
引越し、その他の事情により住民登録を適切に行っていない、もしくは曖昧になっていることに心当たりがある方は、市区町村役場にて確認されることをお勧めします。現在、問い合わせなどで窓口が相当混雑しているようですので、まずは電話で確認するなどして、窓口での「3密」は避けるようにしてください。
未曽有の緊急事態であり、この給付金は生活を維持するため必要な資金です。5月末になっても申請書が届かないようでしたら、自治体への確認が必要だと思います。