死亡後の財産を譲る意思表示は遺言書で確実に!考慮すべき法定相続人と遺留分とは?

2017年2月16日

気持ちを伝えて形で遺すために遺言書を!

これって、難しいですよね。

うまく伝わらないこともあるし、そもそも表現しなければ、相手に伝わりません。

これが恋愛なら、愛する二人であれば、「言わなくても伝わっている!」こともあるかもしれません。

実際は、そんなに都合の良いものはないと思いますが。

通常は意思表示をしなければ、自分の思いは伝わりませんよね。

例えば財産ゆくえ

家族の間でも、そうですよね

子どもは勝手に、「僕は長男だから家をくれるはず」とか、「私は長女で家を出てるけど、親の遺産の半分はもらえるはず」とか、期待も込めてある程度予想するものだと思います。

しかし、親の立場からすれば、自分が作った財産ですから、誰にどの割合で相続させるのかは、当然に自分で決定していいのですよね。

だから、ある程度は、親から子どもに対し、ある程度の相続の内容について、生前に話をされると思います。

ここで問題となるのは、口約束では、相続はその内容が実現しないことです。

意思表示の合致のみで口頭でも成立する、通常の契約とは違います。

たとえ親の音声を録音していたとしても、効力はありません。

正式に「遺言書」として書面にしておかなければ、認められないのです。

親は、子どもなど遺す家族の幸せを一番に考えるものですが、遺す財産の多い少ないに関わらず、上手に残さないと、トラブルになってしまっては、元も子もありません。

自分が亡くなったことが原因で、遺された家族が仲たがいとなることも少なくありませんから。

統計によると、家庭裁判所に持ち込まれた相続の割合は、遺産五千万円以下の相続が70%を超えるそうです。

この金額は、他人ごとではないですよね。

そのようなトラブルを避けるために、最も有効なものが「遺言書」です。

亡くなった人が法的に意思表示できるものですから、その内容も実現されるよう法的に守ってくれます。

また、遺言書には、「附言事項」というものがありますから、遺言書を書いた人が、書いた理由、内容について自分の気持ちを書き記しておくことができます。

例えば、財産が不動産しかなく、それを今同居している長男の息子さんに遺そうと思えば、その兄弟があれば、当然に不満に思われるわけです。

そこで遺言書を書いておけば、附言事項に、「長男は跡継ぎで、近所や親戚付き合いをしてもらうので」などの理由を書いておけば、他の兄弟も、「仕方ないか」と納得しやすくなりますよね。

遺留分について

しかし、ここで留意することは、「遺留分」です。

法定相続人であれば、完全に相続する権利が無くなることを防ぐために、法的に「遺留分」が認められています。

「遺留分」は、法定相続分の2分の1です。

例えば親が亡くなり、子どもが長男、次男の二人いた場合、法定相続分はそれぞれ2分の1で、遺留分はその2分の1、つまり4分の1は認められるわけです。この権利まで侵害するような遺言書を作ったとしても、当然に「遺留分」は認められますから、権利を主張することができます。

ただし、遺留分の請求は、被相続人が亡くなったことを知ったときから、1年までですので、注意してくださいね。

なお、相続人が兄弟姉妹の場合は遺留分がありません

自分で作る「自筆証書遺言」では、その遺留分などが考慮されていないことも多いです。

私が「公正証書遺言」をオススメするのは、この遺留分のことも含め、遺言書を書かれる本人の意思が最も確実に実行されるよう、専門家の知識でもって考えて作るからです。

もちろん、法律によって制限されることもありますから、本人の意思が必ず100%まで反映される内容にならないこともありますが、最大限に近づける努力をしてくれます。

行政書士は、この遺言書の起案(原案作り)をしますから、文書作成の専門家として法的な問題も考慮して考えます。

この原案をもって、さらに法律の専門家である公証人によって「公正証書遺言」が作られるので、いわば二重のチェックを通ることになります。

行政書士は原案について事前にご本人からお話を聞いた上で、公証人と打ち合わせを行いますから、作る遺言書が行政書士と公証人で見解の相違が生じることもありません。

まとめ

自分の相続ですから、財産についての意思表示は確実に、公正証書遺言とすることをお勧めします。

私はこの相続の仕事をしていると、「遺言書さえあれば」と思うような事例によく遭遇します。

遺言書があったとしても、自筆の遺言なので記載内容が法的効果を持たない内容だったために、結局トラブルにっていることもあります。

自筆の遺言には、「権利書は机の引き出し、ハンコと通帳は金庫にある」などしか書いてなくて、遺産を誰にどのように分けるのか、全く書いていない遺言もあって、遺族は肩透かしに合った、なんてこともあります。

このような遺言は、作っても無くても同じです。

ご家族にご自分の意思でもって、財産を遺すのであれば、ぜひ遺言を書きましょう。

しかも、その重大な意思表示で大切なのは、「確実性」ですよ。

Posted by synce-office