分属評価とは|1筆の土地に2つの地目は有り得るの?その原因は?
「分属評価」は固定資産税を適切に課税するためのもの
固定資産税は地方税で、市町村が不動産(固定資産)について、その利用状況(現況)にともなって、適切に課税をしていくものです。宅地は税率が高く、農地は低い傾向にあります。用途によって税負担に差を設けています。「分属評価」とは、たとえ1つの土地であっても、その範囲(区分)において違う用途で使われているのなら、市区町村が職権で地目(課税地目)を設定した上で、課税をしましょうとするものです。例えば、1つ(1筆)の土地において、半分は家が建っていて、半分は畑であるような場合には、その土地の面積において「宅地」と「畑」をそれぞれ半分に分けて(分属)、固定資産課税台帳に登録(評価)します。
これについては、登記簿との地目の関係もありますので、少し詳しく見て行きましょう。
登記簿と固定資産課税台帳では地目が違う場合がある
まず前提として、法務局が管轄する「登記簿(全部事項証明書)」と、市区町村が管轄する「固定資産課税台帳」では、地目を設定する目的が違うために、必ず一致するとは限りません。例えば登記簿では畑となっていても、固定資産税は山林や原野で算定されていることもあります。
年月が過ぎれば土地の利用形態が変化していくことがあるので、やむを得ないことではあります。しかし、放置して良いというものではありません。その土地について現況が異なれば地目を変更する義務が、所有者には生じます。しかしながら、登記申請は所有者が行うもので、国が職権で行ってくれるものではありません。所有者は、多くの場合で適正な地目のための登記申請が放置、失念もしくは見過ごしてしまい、登記簿の記載事項が現況と乖離していくことになるのです。一方、市区町村による固定資産課税台帳上の地目(課税地目)は、固定資産税を適正に課税するために、調査により3年に一度、行政庁の職権により見直されます。
ただし、建物が未登記の場合は、その調査が行き届かない場合があります。相続や売買などで所有権が変動した時などは、登記申請とともに、市町村役場への届出が必要になります。
登記簿で1筆の土地に地目が2つは有り得るの?
登記簿では原則として、1つ(1筆)の土地に地目は1種類しか設定することができません。もちろんこのルールは一貫して登記簿に反映されてきたはずですが、かつて手書きで登記簿が記載されていた時代や、戦中や戦前の混乱期の影響もあるのでしょうか、私は1筆の土地に2つの地目が混載している登記簿を見たことがあります。その記載は、登記簿がコンピューターでの管理化された現在においても、残ったままです。これもやはり、国は職権では修正してくれませんから、所有者が法務局に申し出を行って、一部地目の変更のため分筆をする登記が必要とされるのだと思います。
固定資産課税台帳上で1つの土地に地目が2つは有り得るの?
市区町村は、その土地を使用の現況において区分けして地目を把握し、その地目に応じて固定資産税を課税する方法を採ります。つまり、「分属評価」をすることで適正に固定資産税を徴収するよう努めるので、あくまで固定資産課税台帳上ではありますが、1つの土地で同じ地番でありながら、地目が2つ以上設定されていることはあり得るのです。というか、よく行われていることです。
まとめ
「分属評価」は固定資産税を適切に徴収するために市区町村が固定資産について設定するものです。これが行われている不動産の所有者は、登記簿においても現況に沿うよう変更登記を行って、公的情報は適切な記載とされますよう努めてください。
※今回、事例を分かりやすくするために「分属評価」という表現を用いましたが、行政機関により、その表記及び呼称とは異なる場合もしくは定義されていない場合がありますことをご了承ください。