帰化申請に嘘はご法度!国(法務局)が許可を与えるために調べるポイントとは?

2018年12月20日

帰化される方は増えてるの?

最近、うちの事務所に帰化申請の依頼が増えてきたので、日本国籍を取得する人が増えてきたのかなと思っていました。

でも統計的には、日本に帰化(国籍取得)される方は、減ってきているようです。

法務省の統計によれば、過去5年間の国籍取得者は、

  • 平成25年 1,030人
  • 平成26年 1,131人
  • 平成27年 1,089人
  • 平成28年 1,033人
  • 平成29年 966人

うーん、微減ですね。

一方、過去5年間に国籍を離脱した人の数は、

  • 平成25年 380人
  • 平成26年 603人
  • 平成27年 518人
  • 平成28年 613人
  • 平成29年 770人

こちらは増えてます。

これは、自分の意思で日本国籍を離脱した人の数ですから、日本の人口減少によるものではありません。

私の場合、帰化申請を依頼されるのは、そのほとんどが特別永住者の資格を持った韓国籍の方です。

亀岡という地域には、まだまだ企業の数が少ないためか、街にも外国人の姿を見ることは、あまりありません。

絶対的に、外国人の方の数が少ないというのも、要因なのでしょうね。

外国人労働者を多く抱える企業や工場がある地域では、多国籍の方による帰化の希望があるのだと思います。

特別永住者の資格を持った方は除いて、就労による在留資格から最終的に帰化に至るには、年数がかかります。

また、その方の経歴や素行など、個人的な側面が重要視されますから、帰化が容易でないことも多いようです。

これは知り合いの行政書士から聞いた話なのですが、フィリピン国籍の方が日本への帰化を希望されたそうです。

でも、ヒアリングを進めて行くうちに、同じくフィリピン人の配偶者と離婚したいと考えてらっしゃることが判明しました。

実はフィリピンでは、離婚という制度が存在しません。

でも実態としては、全てのフィリピン人が婚姻関係を継続しているかといえば、そうではありません。

実際には、国際結婚であれば、相手方の国の法律に則り成立した離婚を、フィリピン国が認めるという方法がとられるようです。

フィリピン人同士の結婚であれば、婚姻解消の手続きを取るしかありません。

離婚という制度がない以上、婚姻の事実そのものが存在しなかったという、タイムマシンのような方法で、婚姻すらしていない状態に戻すというものです。

いずれにしても、婚姻関係を解消するには、超法規的は措置の扱いとなりますから、かなりの時間と手間と弁護士費用、裁判費用がかかるようです。

よって、離婚は一般市民にとって、現実的なものではありません。

話を戻すと、このフィリピン人の方が帰化したいという動機は、フィリピン人同士の現在の婚姻を解消して、日本人との結婚がしたい、でした。

フィリピンに生れて住んでいた時代に結婚したが、就労で日本に来て、そこで知り合った方と親密になり、結婚話が進んだ模様。

しかし、いざ結婚したくても、できないことが判明したのです。

外国人と結婚する場合には、婚姻要件具備証明書が必要です。

これは、独身であることを国が証明してくれるものです。

当然ながら、婚姻関係にある以上、婚姻要件具備証明書は発行されません。

そこで、困ったフィリピン人の方は、「帰化して日本人になれば、結婚できる!」とお考えになったのでしょう。

だから、帰化を希望されたようですが、これって動機として間違ってますよね。

配偶者が本国にいるのに、その一方のみが日本に帰化することの蓋然性がありません。

そもそも、フィリピンでの離婚よりも、日本への帰化が容易であるはずがありません。

専門家に依頼すれば帰化できると安易に考えたのでしょう。

もちろん、そのフィリピン人の方からの帰化の依頼は、断ったとおっしゃっていました。

国(法務局)は、何を重視するの?

帰化を希望される場合、これは大前提なのですが、嘘はいけません。

人を欺こうという行為を、国は嫌います。

帰化にあたり、国が最も重要視しているのは、その人の人間性です。

これから日本人になろうとしている人が、素行が悪かったり、平気で嘘をつくような人を、日本国民としたくはないのです。

帰化申請を専門家に依頼される場合も、絶対に嘘を言うのはダメですよ。

隠したい事実や過去もあるでしょうが、国にはバレます。

なにしろ、半年から1年ぐらいかけて、国は帰化希望者のことを、徹底的に調査します。

その段階で、嘘が判明したら、どうですか?

その人の信頼性が、一気に失われますよね。

帰化が認められることに、大いに暗雲が立ち込める悪い要因になります。

一方、調査で問題がなければ、この人なら日本国民になって大丈夫という結論が出て、ようやく帰化が許可されます。

まとめ

申請された帰化を許可する国(法務局)が一番重視するのは、その人の人間性です。過去の万引きや軽微な交通違反も、包み隠さず申し出てくださいね。

お願いします。

Posted by synce-office