得する相続|相続税の申告では税理士さんの見極めが重要な理由とは
その相続税の評価は適正ですか?
相続において以前は、相続税の基礎控除額は、
〇 5000万円+(1000万円×相続人の数)
だったのですが、平成27年からは、
〇 3000万円+(600万円×相続人の数)
に、変更されました。
これにより、相続税の申告が必要になる対象が増えましたので、「もはや相続税は他人ごとではない」、という意識が広く根付いたように思います。
では実際、ご自身が関わる相続において、相続税が発生する可能性があったなら、どうされますか?
控除額をちょっと超えてそうだけど知らん顔して、名義変更の手続きのみされますか?
それは、絶対にやめておきましょう。
何しろ、税務署は皆さんの財産はある程度把握されていて、実際の資産額との差は、さほどないと聞きます。
タンス預金だって、例外ではないですよ。
個人番号(マイナンバー)の導入により、ますますリアルな金額の情報を保有されているはずです。
みなさん、会社勤めなら、会社にマイナンバーを報告されていますよね。
個人事業主でも、確定申告には必ず、マイナンバーを記載します。
配偶者控除や扶養控除の対象となる家族のマイナンバーも、申告書に記載が求められます。
つまり、すでに情報は紐づけされているので、隠してもダメなんですよ。
税務署は全てお見通しで、承知の事実のはずと思っておくのが無難です。
相続税の申告の仕組み
我が国の税務申告は、その名の通り、税務署が財産を調べて課税するのではなく、納税義務者が自己で課税対象を金銭に換算し、その課税価格から納税額を計算して、納税まで自発的に行う制度です。
その納税期間は、相続であれば死亡してから10ヵ月以内です。
その申告内容について、税務署で疑義が生じた、もしくは申告内容の確認のため、後日に必要があれば税務署の税務調査が入るという仕組みです。
問題なのは、税務調査で申告漏れが生じれば、追徴課税や重加算等がペナルティとなって課されますから、最初から申告する時の税率よりも、高くなります。
だから、バレなきゃいいじゃん!バレたら、その時に払えばいいじゃん!では、ダメなんです。
社会的信用も、失墜する事態になりかねません。
これは脱税行為と言えるものなのですから。
では、税務調査を恐れて、税額を多く支払えばいいかといえば、もちろん違いますよね。
払うものを多く払ったところで、適正額との差額は、こちらが還付申告しない限り、戻ってはきません。
分かりやすく言いますと、税務署側としては、多く納税されても何も言わないけど、少なければ指摘しますよというスタイルなのが、申告による納税の制度なのです。
だとすれば、いかに適切に課税額を算出して、適正な金額を納税するのかが重要になります。
これは正直なところ、相続税に関しては一般の方では、無理だと思います。
税制が複雑すぎるので、専門知識が必要です。
この専門は、もちろん税理士さんなのですが、適正な申告のためには知識はもちろん、経験が欠かせません。
特に、亀岡や南丹のような農業が盛んな地域では、相続に農地が含まれることもあります。
この計算が、またややこしいようです。
農地を宅地にしたと仮定して計算するそうですが、そのための造成費用なども算出するそうです。
しかも、農地の相続は、先祖代々の土地だとすれば、何筆にもなり、膨大な作業量になります。
私が傍で見ていても、細かく気の遠くなるような緻密な作業を税理士さんはされていますから、税理士の力量が問われるところで、おそらく金額(納税額)にも大きな差が生じるように思います。
この緻密な作業を、労を厭わず、しかも豊富な知識と経験から算出してくれる税理士でなければ、もしかすると払わずに済んだ余分なお金を、しかも何百万円、何千万円という単位で、相続税として支払うことになるのかもしれませんよ。
しかも、答え(正解)はないんです。
税務署からの税務調査がなければ、正解だったということもありません。
だって、余分に支払っていても、税務署は「ありがとう」であって、こちらが言わない限り、お金を返してくれませんもん。
かといって、少なく申告したからといって、必ず税務調査が入る訳でもないです。
逆に、税理士が苦労を重ねて、文句のつけようもないほどの適正額で申告したと自負していても、税務調査が入る時は、入ります。
でも、不適切な申告内容で低い納税をした場合とは、その結果は、自ずと違ってきますよね。
税務調査の対象となるかの問題もそうですが、なにより追徴税額に差が出てきます。
申告に不適切な内容がないのであれば、当然、どこを調べても、追徴課税はできませんから。
私は税理士ではないので、税務申告については細かいことまで分かりませんが、行政書士なので、依頼される相続手続きには、相続税の事を常に意識しなければなりません。
単純に、相続財産に3000万円+(600万円×相続人の数)を当てはめて計算すれば関係ないというものではないからです。
特に不動産があった場合、不動産の価値を評価するのは容易ではありません。
相続税の場合、相続税評価額で不動産を評価するのですが、先程も述べた通り、例えば農地は算出の方法により、評価額が大きく違ってきます。
その評価額により、納税額は左右されますから、慎重に評価されるべきです。
場合によっては、不動産鑑定を入れるべき
私の場合は、税務申告をお願いする税理士と相談をしながら、場合によっては、不動産鑑定士による鑑定を入れることもあります。
不動産の価値の評価については、税理士も行政書士も専門ではなく、不動産鑑定士が行うものです。
相続税を計算するのは税理士ですが、不動産の評価については、適正に額面を算出するのには、限界があります。
あくまで、税務署の指針による算定基準に当てはめて、計算するしかありませんから。
しかし、不動産というものは、所在地や条件により特殊事情があると、税務署による基準では過大な納税額となることがあります。
このあたりを提携する税理士に判断をお願いし、経験から不動産鑑定を入れることを検討してもらいます。
不動産鑑定士に適正な評価額を算出してもらい、それを根拠に申告しようということです。
申告書に鑑定書を添付するので、申告内容の根拠の証拠になります。
この手間って、重要ですよね。
これにより、低くなった納税額よりも鑑定費用が安ければ、依頼者にとって大きなメリットになります。
このようにして、すべては依頼者の利益のため、私たちは業務を行っています。
もちろん、法令順守は大原則です。
まとめ
相続だからと、単純に、相続税が発生するから税理士、不動産の登記があるから司法書士という判断から依頼先を選ぶのは、おすすめできません。
さらに言えば、お願いする士業者がもし怠慢な仕事をされた場合、支払額のケタが違うぐらいの差が生れることも、ないとは言い切れません。
士業者は、慎重に選びたいですね。健康で元気なうちに、財産調査をしておくもの、重要ですよ。